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故きを温ねて新しきを知る

by
伏龍殿の覇者
伏龍殿の覇者
<CAUTION!!>
この記事は娯楽記事です。内容の真偽については不正確な部分があります。

1.はじめに
この度は三国志大戦の稼働4周年おめでとうございます。
一度終わったシリーズの作品がまた復活して数年続くというのは誠に喜ばしいことです。
今回は久しぶりということで、日頃自分が使用している継戦の号令について記事を書こうと思いましたが、せっかくの記念の場、更に年も明けましたので辛気臭い継戦の号令なんかではなく雑文を書きたいと思います。

しかしその前に事前の知識として必要な…儒教について…お話します。

2.儒教について
儒教…それは古代中国を語る上で欠かせない要素であります。
ですが三国志が好きで正史を読んでも、五経を読んでいる現代人は少ないでしょう。
小説がまだ通俗的で悪とされていた時代は四書五経は一般的な教養とされていたそうですが、今では少しだけ離れたものになってしまっていますね。
ちなみに大衆的な小説に対して、君主が政治などについて書いたものを大説というそうですよ。マジで?

ということで今回は自分の知識も浅い部分であった儒教について簡単に調べていきたいと思います。
…もちろん三国志大戦の話題もあります。BANしないで…BANしないで…

とはいっても何といっても、儒教の話をそうそう詳しくするわけにもいきません。
なのでまず簡単に概要を話しますと、儒教とは孔子によって古の君子の政治とは何か、天下を収める王道とは何か、徳によって世を治める術とは…ということをまとめた五経を聖典とする宗教、主張、思想を言います。
なんだか宗教っぽくはないですよね
馴染みのある仏教の経典にあるところの輪廻転生について話したり、現生の利得を説いたりというようなスピリチュアルな要素はほとんどありません。
あるとすれば天地鬼神、祖霊をキチンと祀りましょうねというようなことだけです。それについても孔子はスピリチュアルな部分を否定していますが、そういう部分は日本で言えば神道に共通点を見出すことができ、原始宗教的な側面もあるように感じます。

五経と言うと三国志では「春秋」について杜預にエピソードがあります。

司馬炎に二人の特徴ある人を指して「王済には馬癖が有って、和嶠には銭癖が有る、杜預は何癖があるの?」と聞かれて「私には左伝癖があります」と答えました。
左伝というのは「春秋左氏伝」のことで、これを好んでいました。他には関羽もこれを好きであると伝わっています。
どんな内容かと言うと、まず「春秋左氏伝」は五経の一つである「春秋」をについて知る必要があります。
「春秋」では初めの内容としてこのように記してあります。

『元年、春、王の正月。三月、公 邾の儀父と蔑に盟う。』
「春秋」では何月何日に誰それが何をした、というのが主な内容になります。これを経文とか言われても…と思いますが、それを春秋左氏伝ではこのように解説しています。

『元年、春、王の周の正月。即位を書せざるは、摂すればなり。三月、公 邾の儀父と蔑に盟うとは、邾子克なり。未だ王名あらず、故に爵を書せず。儀父と曰うは、之を貴べばなり。』
左氏伝ではこの時期にあった隠公の即位が書かれていないのは桓公の代理であり仮の君位であるから書かなかったのだ、また盟するとあるのは邾子の克のことで、この時は王命を受けていなかったのでここでは爵位が書かれていない、そして儀父と表記があるのは安公を尊んだからである…
つまり「春秋左氏伝」に書かれているのは「春秋」の解説、副読本なのですね。

ここで書かれている内容はなんとなく理解できますが、読み進めていくと「ここに書かれている爵位が間違っているのは無礼な行為があったから、孔子があえて爵位を下げて記載したのだ」とか「こういう言い回しをしているのはここでこういうことがあったからだ」というような微言大義(簡潔な言葉の中に深い意味や道理が含まれていることを表す四字熟語)を解釈した内容が書かれていきます。

現代の我々から見ると日記(みたいなもん)の解説とか正直何言ってるのかな…という部分もあると思いますが、現代人は現代人で6行しか書かれていない史記からキングダムを10巻も書いてしまったり、こう書いてあるってことは二人は付き合っているのでは…?とかいって同人誌を書いてしまったりしているので、過去の儒者たちにとやかく言うことはできません。
それに内容として読めば当時の歴史書として面白い内容となっているため、それなりに楽しく読むことができます。

左伝について掘り下げてみましたが、知名度が高いのは五書にあの「論語」があります「論語」!知ってます!読んだことはないけど
それでも「論語」の内容は自然に知ってるものが多いですね、温故知新とか、義を見てせざるは勇なきなりとか、そんな感じです。
そんな感じで儒教では今ではもう当たり前の知識として受け入れていること、親を大事にしましょうとか勉強はこうしたらいいよとか、そういう道徳的な内容だとざっくり理解してください

三国志大戦の話が全然出てきませんでした。ごめんね

3.冠について
急に冠の話になりました。ところで…

中国の人が被っているこれ…気になりませんか?

ドラマや絵でも大抵はこの帽子みたいなのが描かれています。
これは実は儒教の教えで「髪を切るのは親にもらった身体に傷をつける」として嫌っていたからです。
なので儒教全盛の時代、大人は基本的には全員が長髪でした。
上の曹操は髪を後ろに結い上げて、あの冠の中に髪を丸めて、それをかんざしで縫い留めている構図なのですね。
なんとなくちっちゃい帽子だけど、風で飛んだりしないのかな?という心配をする必要はないわけです。
また頭を覆わずに髪を露出するというのは当代では恥ずかしいことだったようです。なんで恥ずかしいのかは…良く分かりませんでした…冠礼という成人の儀式みたいなのがありますけど、成人したのに冠着けてねぇのかよ!みたいな話なんでしょうかね

帽子の種類で言うと
先端におばあちゃんの家についてるビーズ暖簾みたいなやつが下がっているやつが「冕冠」、行事用で特別な時にしか被りません、何かの儀式とか


最も馴染みのある上の帽子が「」、ですが職種によって名前や形は細分化されるようです。画像は曹操のを参照ください。

」名前からしてこれだけ分かり辛いですね。三蔵法師みたいなやつです。蒼天のカクとかもこれかな?


そしてバンダナみたいなやつが「巾」、黄巾の巾ですね。つまり特別黄色いバンダナを被った集団というよりは普段バンダナ付けてるけど、黄色で統一している集団という感じでしょうか、被ってない方が珍しいと見たら印象もちょっと変わりますね。


それでは三国志大戦の武将たちの帽子がどうなっているか、見ていきましょう
注:これは意匠としての内容を楽しむもので正否について指摘する意図はありません。

孔融

言わずと知れた孔子の子孫です。
ちゃんと被っていますね…なに…?冠?
でもまぁ可愛いし被ってるのでオッケーですね。多分この中に髪を仕舞って…ボブショートですね、でもまぁ可愛いのでオッケーです。
ひいひいひいひいひいひい爺さんの意向なんて知ったことではないですね。

荀彧

さすが名門!しっかり被ってます!でもちょっと小さくてしまい辛そうですね、というか全然しまえなさそうです、羽根の中にめちゃくちゃ詰めてるのかな
髪もしっかり伸ばしています…よね…あれオシャレロング?でも顔がいいのでオッケーです。アップで見るとマジで顔が良くてビックリしますね。きっと後ろはロングにしてしまっているんでしょう

(…あれ?)

禰衡

うわぁこれは腐れ儒者ですね…と思ったらちゃんと髪を伸ばしています。
帽子を被っていないのも恥じらいがない、というキャラクタ像に合っている感じがして見事です。それにしてもおみ足が白い…流石儒者ですね(?)

盧植

これは…どっちかって言うと冕冠…なのかな?髪も伸ばしていませんね。
ただし冕冠にはルールがあり、皇帝は12本、三公(丞相、司空、大尉)諸侯で9本、卿で7本、士大夫で5本と決まっています。つまりこれはオシャレ帽子ですね。

続いて冕冠の意匠について見ていきましょう

霊帝

ビックリするほど完璧ですね…髪がまろび出てますが長髪でビーズみたいなやつも12本です。THE皇帝です。
個人的にこれ以上にしっかりした三国志のイラストはありません。

献帝

足りませんね…微言大義を取るのであれば皇帝に相応しくないから数を減らしたというところでしょうか?
それにしても顔が良いので何本か分は補っているのでオッケーですね。

成長するとちゃんと12本…以上ある!スーパー皇帝ですね。端の二本ずつはそのためのものではないのかもしれません。

文帝

8本です。もみあげから2本、赤いピロピロで2本で12本、皇帝ですね。
顔が良いので許しましょう。大体のことは顔で許せます。

大皇帝

大皇帝って誰やねん、孫権です。諡号と言っても亡くなった国なので呼ぶ人はあまりいないですね。
そして5本しかないです。雪降ってたから冷たくてくっついちゃったのかもしれません。白髪のすだれが出てるので合わせて12本、皇帝ですね。

昭烈皇帝

これはちょっとだけ有名ですね、でも漢中王でしょう…?
と思ってビーズの数を見ると9個、諸侯は王に数えていいのでちゃんと意匠として王なのですね。
つまり意外ですが皇帝劉備は1枚も出てないことが分かります。もう一枚出るのかな?

奮激の大号令の劉備は皇帝っぽいですね。本数は足りてないですが宣言するときは9本のをして挑むべきなので皇帝になる瞬間なのでしょう。

思い返して大皇帝とちゃんと書いてある餓虎を見に行きましたが

やっぱりちょっと足らないかな?

武帝

2本
2本か…
でもきっとこの手延べそうめんみたいな髪が12本あるんだと思います。皇帝ですね。

4.終わりに
というわけで正月記事でしたが、これもしかして儒教の話の方が長くないですか?正月に書く内容じゃないですね。
あとメモの中に4か月以上腐っている継戦の号令の記事があります。このゲーム一か月で環境が変わったりしちゃうので出す機会が中々ありません。
2か月以内くらいには書き上げたいですね。
作成日時:2021/01/03 22:36
カテゴリ
雑談・雑感
コメント( 1 )
白犬
白犬
2021年1月19日 0時33分

あのじゃらじゃらビーズにそんな意味があったなんて…
とても勉強になりました

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