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曹丕の詩才のお話

by
燈蝋之斧
燈蝋之斧
こんばんは!燈蝋之斧です!

12州昇格戦に何度も挑み、12州になれないまま侵攻度11000をキープしております。

日暮れて道遠しの心境でごぜえますね……。
新司馬懿やら袁姫が強過ぎて、辛いしなぁ……。

とまあ、昇格戦が進まないので気分転換のため別話題を!

題名は三曹の一人、曹丕の詩才についてです!

馬倫「お勉強の時間ですわね!」


さて、曹丕の詩才について語る前に曹丕の文を見てみましょうか。

下記に例を挙げますのは、魏文帝与朝歌令呉質書。
要は曹丕が親友の呉質に宛てた手紙です。


ただまあ、流石に白文は意味わからん人も多いかと思いますので、現代語訳を。引用は『三国時代の文学スレッド』のまとめサイトから。

現代語訳↓


五月二十八日、丕より、謹啓。
 季重(呉質のあざな)どのにはお変わりありませんか。
(呉質が赴任している朝歌までの)道のりはせいぜい限られた距離なのですが、宮廷での仕事は限りなくあるので、いつもあなたを懐かしく思うことに耐えるのが大変です。
あなたの任地はとても僻地で不便なところなので、手紙で安否を問うことも簡単ではなく、私は心配でますます心労が増します。
 いつも昔に南皮で遊んだ日のことを思い、まったく忘れることができません。
(一緒に遊んだ人々は)みな六経の思想につうじており、諸子百家を気ままに楽しく語り、たまにおはじきの試合をして、それが碁石を箸ではじくボードゲームになって終わり、みなさんのお話に心をたのしませ、琴のものがなしい調べに耳をかたむけましたね。
また、馬を北のほうの平原にほしいままに走らせ、つらなって南の館で食事をしたり、甘い瓜をきれいな泉に浮かべたり、赤いスモモつめたい水に沈めたりしましたね。
太陽がすっかり隠れて明るい月がそのあとを継ぐと、一緒に車に乗ってわだちを並べ、後園に遊びにいって、車の車輪はゆるやかに動き、ついてくる音はなにもせず、きれいな風が夜空におこり、悲しげなあしぶえが小さな音で鳴り、楽しかったことはいってしまうと、寂しさがやって来て、とても悲しくなってしまいます。
私は余韻を顧みながら、「こんな楽しいことは常にはありません」と言い、みなさんがたもその通りであるとしましたね。はたして今は(常ならぬとの言葉どおり)遠くに
別れ別れになってしまい、それぞれがいろいろな場所におり、元瑜どの(阮瑀のあざな)は遠くへ行ってしまい(没してしまい)、幽霊となってしまいました。
いつも我々の人生の時間はとても短くてすぐに終わってしまいますが、いつあなたとおしゃべりできるようになるでしょうか。
 今はまさに時は五月で、南風が物にそよぎ、天気はなごやかで暖かく、すべての果物は繁りそろっています。たまには馬車で遊びに出て、河曲(黄河沿いの地名)にしたがって北に行き、従者はあしぶえを鳴らして道の露払いをし、文学(官職名)は後からついてくる車に乗っています。
季節はいつも同じですがその年度は異なり、物は人ではないので(物は季節のようにいつも同じですが、いっしょに遊びに行く人は年度のように異なるので)、わたしの心労はいかばかりでしょうか。
 今、馬を鄴まで遣いにやるので、ついでに寄り道をしてこの手紙をお届けします。
 これからも(お仕事に)がんばって、ご自愛ください。丕より、敬白。


文面から漂う圧倒的幼なじみヒロイン感!

呉質「俺の皇帝が可愛すぎて生きてて辛い」


……でも、部下に宛てる手紙なのか、コレは?


とまあ、おふざけもそこそこに曹丕の詩才の解説を。

上記の文面を見てもわかるように、曹丕の文章は繊細で優美かつ整然としております。よく言えば、ロマンチスト。悪く言えば、柔弱な理想家。そういった、評価ですかね。

太陽や月、果物と言った情景豊かな表現と、自身の心の機微を描いているところも曹丕らしいです。

七言律詩を建て、漢詩を規則正しい表現技法に整備したのも曹丕です。きっちりした、曹丕らしいですね。


ちなみに他の三曹の人、曹操と曹植に関しては曹丕とは大分違う表現タイプです。曹操はダイナミックなタイプ(酒に当たりては、まさに酔うべしの短歌行)で、曹植は奔放で多種多様な感じです。

洛神之賦には色んな意味で、曹丕もびっくりしたろうよ。


個人的には、三曹の詩の中で私は曹丕の作品が好きです。

女々しい感じはしますが、線の細い感じが好みです!

クラシックで言えば、ショパンのピアノソナタ。小説で言えば太宰みたいな感じですかね?  内向的な日本人的感性に即している気がします。

あと、曹丕は文書にもあるように果物が大好きなスイーツ男子だったそうです^_^

戦で劉備を馬鹿にした所はアレですけど、こういう所は可愛いですね。

けっして、あっちの意味ではない。

とまあ、長文失礼しました。

漢詩に興味が湧いたら、調べてみて下さい!

では、さらば!
更新日時:2018/12/16 23:18
(作成日時:2018/12/16 23:12)
コメント( 4 )
4件のコメントを全て表示する
おかか容疑者
おかか容疑者
2018年12月17日 7時23分

文帝、司馬懿以外に友達いたんだ…………(驚愕)
噂に違わぬスイーツ(笑)

柱の男
柱の男
2018年12月17日 8時2分

呉質とかいう奸臣にも女子力高い手紙を送ったげる文帝
もうひとりの親友孟達くんに宛てた手紙は残ってないのかな?(孟達にも「そういや、蜀っていい感じのスイーツあるの?」って質問してたらしい)

燈蝋之斧
燈蝋之斧
2018年12月17日 12時27分

>>guriffon315さん
個性派な曹一族にしては、割合地味ですからね曹丕。
40歳と若死にしたのは手痛いですね。もう少し長生きしていたら、魏は延命出来たかも?

>>おかか容疑者さん
他にも孟達や夏侯尚、夏侯ボウは友達ですよ!全体的に交友関係黒いですが笑
甘いもの美味しいから、仕方ないね!

>>柱の男
曹丕は曹操の出陣前に泣いちゃう位、女の子だからね。なお、呉質が教えた嘘泣きな模様。
孟達とのエピソードは、一緒の馬車に乗って「お前、裏切者じゃないよね?キャハハ」ってふざけた話があるで。曹丕の死後、普通に裏切ったオチもつく小噺や。

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