「一回も助けてくれなかったんだよ、あいつ!  喧嘩して逃げてきちゃった」


目の前の女(にしちゃ色々とねぇが)がだいぶ元気になって話すようになってくれた。
倒れてたのは寒さにやられてたらしい、そらそんな服装でこんなクソ寒いなかいたら倒れるだろ

んで、そんなあほみてェな行為になぜ及んでたのかというと、妹(悦のことだろ)に監禁されて、元カレが助けに来なかったと、ほんで魔王さんに助けられたはいいものの、元カレにはぼろくそいって出てきたかららしく、よりつくとこもないまま倒れた……と、そういう話らしい


「あぁん、助けてもらえてよかったわぁん」

狼が隣でぼやいてる、こいつの声が聞けるのは一部の人間で、俺は聞ける

「ねぇ、その狼さんなんでそんな吠えてるの……桃さん食べられないよね?」

どうやら、このまな板さんには聞こえてないらしい

「今、桃さんさりげなくディスられてなかった?」

……心は読めるらしい、たまたまだろーけどな







「んで?  これからあんたはどうするんだ?」

「どーしよっかなーってはなってるよー、とりあえず住める場所なんだけどー……ねぇ」

「わりィが、女の子寝かせられるような綺麗な場所はねーよ、他をあたんな」

「綺麗じゃなくてもいいからさー、他の場所探すまでの時間稼ぎっていうの?」

「………俺の家を時間稼ぎ扱いはねぇ」

まいったな、タダで寝かせるのは釈然としねぇし…………あ




『このチョコっすか? 姪って言ってましたけど』




………盗賊なら、こういう仕事も出来るだろ





「おっけぃ、そんなに言うなら寝る場所とかは提供してやる、そんかわり」

「桃さんに暴力しちゃう!?  エロ同人みたいに!  エロ同人みたいに!」

あぁ、やっぱり断ってやりてぇ

「うんやぁ、あんたのその身体に興味はねぇよ、ちょっとばかし隠密行動を頼みたい」

「はい?」

「この子の姪ってのがいるらしいから、その人の素性を調べちゃくんねーか?」

「……?  この子の、姪?」

「意味わかんねぇのは認める、とにかく、姪がいるらしいから、それを調べてほしい」

「……ふーん、いいよ、少し興味あるし」

「交渉成立、だな」

「にひひ、今更だけど、名前教えてよ、あたしは王桃、王悦がお世話になってるよ」

「あぁ、李儒のとき以来か、俺は孟優、まぁよろしく頼むわ」





こうして、俺とこのまな板の奇妙な取引が始まった
別にこんなことする理由もねーけど、下手したら俺の友人の初恋が最悪なものになりかねんと、どこかで信じていたのかもしれない

数日後、帰ってきた結果は、願っていたものとは違うものだった








つづく









 
更新日時:2018/02/15 20:57
(作成日時:2018/02/15 20:57)
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コメント( 18 )
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天心十五@ハコニワ筆主
天心十五@ハコニワ筆主
2018年2月18日 7時18分

フノ様
うふふ、次回が楽しみですね(にっこり

天心十五@ハコニワ筆主
天心十五@ハコニワ筆主
2018年2月18日 7時18分

おかか様
多分なにも考えずにごろごろしてそう←

天心十五@ハコニワ筆主
天心十五@ハコニワ筆主
2018年2月18日 7時19分

めがぴぴ様
まああやつが出てたのほんと最初期ですからね
知らないのも無理ないかと

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