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詩聖・曹植 <前編>

by
紫苑
紫苑
今回から、三国時代随一の詩聖・曹植を紹介します。





まずは、曹植の雑学についてお話しましょう。

上にある曹植のカードのルビには「そうしょく」と書かれていますが、「そうち」でも良いことになっています。
今回はこれだけでも覚えてくれたら幸いですね。


ここからは本題。
曹植に関するエピソードとして三つのうち、今回は一つ見ていきましょう。

【七歩の詩】

曹植は幼少期の頃から文才で、「論語」や「楚辞」の漢賦(かんぶ)数十万字を覚えていたとされています。

そして「七歩の詩」は、曹植の天賦の才を知らしめる上では持って来いの詩です。
それでは、どんな詩だったか見ていきましょう。

皇帝となった曹丕は、曹植を呼び出し
「朕が七歩歩くまでに詩を作れ。お題は兄弟とする。」
と無理難題な命題を課しました。

その時に曹植が詠った詩は以下の通りです。


(原文)
煮豆持作羹
漉鼓以為汁
萁在釜下燃
豆在釜中泣
本是同根生
相煎何太急

(和訳)
豆を煮て濃い汁を作る
豆で作った調味料を濾こして味を調える
豆がらは釜の下で燃え豆は釜の中で泣く
豆も豆がらも同じ根から育ったものなのに
豆がらは豆を煮るのにどうしてそんなに激しく煮るのか


このように、お題となった兄弟を豆と豆がらに置き換えているのが素晴らしいですね。


この場面は、三国志Three Kingdomsの中でも描かれているのでどうぞ。
(ついでに、この回の最後まで流します。)







残念ながら、この詩は実際に詠ったのか疑問視されています。
しかし、晩年の封地を転々とさせられる境遇を詠った「吁嗟篇」(えんさへん)等、数多くの優れた詩を発表していることから、
曹植は唐の時代の杜甫が現れるまで、中国史上最高の詩人と称されています。


しかしながら、これまでの大戦シリーズの曹植は、SRどころかRでも登場していません。

曹植以外で文芸で活躍した大戦シリーズの武将を挙げると、「檄文」で有名な陳琳と「三国志」を編纂した陳寿がR。
蔡邕の娘で曹操から高く評価された蔡琰がSRですから、SEGAさん、少々低すぎませんか?


以上となります。
次回も曹植に関するエピソードを二つ紹介して行きます。
更新日時:2021/02/01 20:20
(作成日時:2021/01/31 23:50)
カテゴリ
雑談・雑感
コメント( 2 )
渡邊台王
渡邊台王
2021年2月4日 12時52分

七歩の詩が疑問視される根拠が、「曹植が謳ったにしては詩の出来が月並み過ぎる」というのも含めてこのエピソードは好きです。
戦に直接関わる機会が少なかった曹植をどういうステータスと計略にするか扱いが難しいんでしょうね。
文学的な功績に主眼を置いたマニアックな群雄伝とか面白そうだと思うんですが、人気でなさそう…。

紫苑
紫苑
2021年2月4日 16時40分

>渡邊台王さん
他の投稿者もご指摘の通り、このゲームは、直接戦地に関わらない文官に対して過小評価しがちです。
この曹植にとって、どんな計略がふさわしいのかは次回と併せてみると幸いですね。

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