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『携帯ゲーム史三国志』の話・11

by
四天王FAL
特イベ
特イベ
四天王FAL
~あらすじ~
 
他との競合を避けるかの様な呉のワンダースワン。
その、発売ソフトの傾向を見てみよう。
 
 
★★★★★★
 
他にない機能性のオリジナリティを押し出したワンダースワンであったが、
本体と同時発売したのは、
隠し玉の『グンペイ』と、
バンダイから発売された『チョコボの不思議なダンジョン』
タイトーの『電車でGO!』トミーの『新日本プロレス 闘魂列伝』
 
『グンペイ』が、ゲームボーイの『テトリス』の様な起爆剤になる事はなく、
発売本数も4本と少ない。
出だしはスロースターターであった。
 
もっとも、ゲームボーイとて前評判では、本体同時発売のスーパーマリオワールドが、
「わざわざ携帯ゲーム機の小さな画面でやる必要があるのか?」と酷評されていたので、出だしから支持を得るつもりはなかったと思われる。
 
チョコボの不思議なダンジョンも、プレステソフトの移植で、
グンペイは、触らなければ面白さは伝わりにくいからである。
 
 
ただ、ネオジオポケットと違った部分は、サードパーティーの熱であった。
 
ネオジオポケットは、悲しいかなSNKと夢工房が主で販売ソフトを展開する、当時のセガに近い体制だったが、
バンダイは。その看板の信頼性や、
ソフト開発の簡単さ、なにより、本体を縱画面に置き換えれる工夫が、開発者の意欲を刺激した様に思える。
 
本体発売日の3月4日にソフト4本とすくなかったが、
1週間後の3月11日には、
『信長の野望forワンダースワン』(コーエー)
『麻雀登竜門』(サミー)
『ぷよぷよ通』(バンダイ)
『ワンダースタジアム』(バンダイ)
 
と、幅広いジャンルを出していて、
これ以降、1~2週間ごとにソフトを出していて、
様々なメーカーからコンスタントにソフトが供給されるさまをアピールしているのである。
 
ここはネオジオポケットとの国力の差が出てしまった。
ネオジオポケットは、参入メーカーこそ大手が多く、反董卓連合軍を体していたが、本気で戦うのは、SNKと、そのアーケード時代に共にネオジオソフトを開発していた夢工房やADKだけであり、
他は日和見を決め込んでいた。
関ヶ原の合戦の西軍石田三成の様である。
 
ワンダースワンも、バンダイだけでも戦えるほどの開発力はあったが、
長年の付き合いもあったのか、参入メーカーの取り組み方が違った。
 
その後も、3月25日に『デジタルモンスター』(バンダイ)を発売、
 
4月1日に
『三國志forワンダースワン』(コーエー)
『海釣りに行こう』(ココナッツジャパン)
『上海ポケット』(サミー)
と、ソフトの好み的にはやや高い年齢層に向けているが、
手軽に長く遊べるゲームを出している。
 
本体発売の1年間は、ワンダースワンがもっともソフトタイトルを多く出していて、
その数69本。
 
得意のガンダムを含めた版権ものも、
『スーパーロボット大戦complete』
『SDガンダムエモーショナルジャム』
『mobile suit GANDAM MSVS』
『SDガンダム ガシャポン戦記ep1』
ガンダムのマスコットキャラ・ハロを育てる『ハロボッツ』(サンライズインタラクティブ)など多彩で、
 
他にもエヴァンゲリオンの使徒を育てる育成ゲーム『新世紀エヴァンゲリオン シト育成』、
アニメ化で人気が出た『デジモンアドベンチャー』など。
『名探偵コナン』や『カードキャプターさくら』などもゲーム化しており、
購入の間口を拡げるラインナップをあげた。
 
その一方で、
『忍者じゃじゃ丸くん』
『魔界村』
『クレイジークライマー』
など、往年の名作を出してレトロゲーマーを刺激したり、
 
『ワンダーソナー』と言う、魚群探知機を発売し、
お手軽に釣りに備えれるだけでなく、アウトドアに持ち合わせれる強みを出した。
釣りに付き合わされる子供には嬉しい組合わせかもしれない。
 
 
また、バンダイはオリジナルゲームを模索していた様で、
オリジナルRPGとして、
『カオスギア~導かれしものたち~』
『LAST STAND』
『ヴァイツブレイド』や、
音ゲーとして『ターンテーブル‐DJバトル』なども出しているが不発に終わる。
 
その中でも秀作だったのが
ホラーノベルティの『テラーズ』だった。
スマホ普及前に、こう言うサウンドノベルのジャンルに目を向けていた事と、ゲームならではの演出を加えて、恐怖感を刺激する作りはいかにも携帯ゲーム向けであった。
 
他にもバンダイは、公募によるゲームをソフト化しており、
『たねをまく鳥』と言うゲームが、発売している。
 
枯れた技術の水平思考によって、やや昔のシステムである携帯ゲーム機だが、
開発がしやすい点では、若手クリエイターやベンチャー企業の参入も意欲的であった。
開発が容易である事で参入メーカーが増えたのはプレイステーションの戦略であったし、
古くはビデオ規格であったVHSも、その方式を取った。
 
そんな中で、ワンダースワンが、開発のやり易さから、公募ゲームを販売する。
これがハードの魅力にもなり得たのである。
 
 
最後に2つ、ワンダースワン初期の名作を紹介して終わろう。
 
 
ひとつ目は『風のクロノア・ムーンライトミュージアム 』(ナムコ)
 
風のクロノアは、プレイステーションで発売されたアクションゲーム。
ポリゴンでなくドットで描かれた動きは、むしろその方が見易くてしっくりくる。
ステージによっては本体を縱向きに持ち変えたりと創意工夫がある。
全ての点が高得点と言う、名作アクションだ。
 
 
次に『beatmania forワンダースワン』
 
ビートマニアの移植作。
それだけなら、ゲームボーイカラーにも移植されていて珍しくは無いが、
以前述べた通り、ワンダースワンは本体の低コスト化で、音声出力は最低レベルに落とされてしまった。
ただし、別売りの『拡張イヤホンジャック』をつけることで改善される。
 
そんなシステムで、ワンダースワン版のビートマニアは、なんと容量も128メガ。
発売ソフトと比較すると、ほとんどが4メガか8メガの中に、圧倒的な容量でこだわったのは、
『生音』だった。
同梱版で拡張イヤホンジャックとターンテーブルを付けて、
生音にこだわったワンダースワン版ビートマニア。
そこにクリエイターの情熱を感じ得るだろう。
 
 
 
出だしは上々とまでは行かないが、次世代機にプレイステーションが台頭し、開発費も膨れ上がる時期には、
陳腐ながらも開発が容易で、様々な趣向が作り手次第で出来る事がワンダースワンの土壌となった。
また、バンダイそのものも、たまごっちで起因した携帯ゲーム機事業に本気で、
ここから、あの有名RPGメーカーも参入して戦うことになるのである。
 
 
つづく
 
 
作成日時:2020/06/19 10:24
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コメント( 4 )
4件のコメントを全て表示する
金村保坂非道
金村保坂非道
2020年6月19日 15時16分

お待ちかねの連載企画、beatmania forWSは避けて通れないのですね。
そして思い出のterrors。WSもぼちぼち思い出はありますが、どうしても友人ももってたネオポケと比べると、あまりやってなかったなあ…と。

四天王FAL
おかか容疑者
おかか容疑者
2020年6月19日 18時40分

WSはほぼほぼデジモンのために買いましたね。
とはいえ封神演義のRPGとかも面白かったんですよなー。青春の1ページ。

四天王FAL
四天王FAL
特イベ
特イベ
四天王FAL
2020年6月19日 19時33分

>ハトさん
コメントありがとうございます。
本体カラーがオシャレでしたが名前が覚えにくかったですね。
フローズンブルーみたいな。
クリスタルで画面の見やすさが段違いでした。

>金村保坂非道さん
友人との思い出があるのは羨ましいです。
今でも、ゲームはコミュニケーションツールですからね。
>おかか容疑者さん
たまに安くなったゲームをインスピレーションで買ってみて面白かった時の記憶がいつまでも残ってます。

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