1963

『西涼伝』に関する未完の考察など

by
ふぐりおじさん
ふぐりおじさん
どうも、ふぐりおじさんです。

新ver稼働しましたね!計略調整に留まらず大量に横山LEが追加されて嬉しいやら欲しいやらで身悶えしておりますが。
 
さて、稼働と同時に実装された『西涼伝』について。
現在わたくしはSR龐徳(西涼烈風撃)をメインに据えたデッキでプレイしておりますが理由は簡単、彼が格好いいから。
もともと西野兄貴の描く武将たちに惹かれて大戦シリーズに興味を持ったようなところもあり、唯一無二の計略持ちという点も楽しみながら使わせて頂いております。
そんな推し武将である龐徳の西涼時代が今作でどんな風に描かれているのか、ワクワクしながら『西涼伝』のプレイを始めたわけです、が。

わー馬騰パパ渋すぎー馬超イケメンー龐徳かっこいいー
みたいな浮かれ気分は物語が中盤に差し掛かったあたりから一気に吹っ飛び、あとに待ち受けていたのはがらがらと無情に突き進む運命の車輪。
シリアスに描写される一族の悲劇、離れていく仲間との心、傷つき倒れていく民草、次第に追い詰められていく馬超。

確かに史実の通りではあるんだろうけど、ここまで容赦なく登場人物を締め上げていく展開をアーケードの(いわゆる)ストーリーモードでやるとは。
はっきり言ってしまうと結構な欝展開でビックリしました。
まあ呉後伝とかもなかなかアレで負けず劣らずという感じですが、競うなそんな部分で。

という事でメンタル面がもたず、第五章に差し掛かったあたりで泣きながら逃げてきました。
この記事はプレイした感想や各武将に関しての自分なりの考察をだらだらと書き殴ったものになります。
当然ながら『西涼伝』のネタバレを多く含みますので、閲覧にはご配慮いただきますようお願い申し上げます。

------------------------ き り と り せ ん ----------------------------------------

第一章 西涼の乱

西涼伝』は馬超の父・馬騰が国の行く末を憂い、西涼の地を守るため立ち上がるところから始まる。
彼は国の腐敗を正すため敢えて漢に対して叛き、同盟を結んだ韓遂と共に反乱をくり返した。

「この乱が、何かを変えると信じて」
自分には政治はわからない。だが動かねばならなかった。何かを示さねばならなかった。
それは西涼に生きる者たちの意志、叛気、あるいは義憤である。
すべてが思うがままに動かせると思い込んだ中央の人間に大義を示すための戦い、それが馬騰にとっての叛乱であった。

生きるために反乱を起こすという韓遂に対して「俺の乱は、守るもののためだ」と馬騰は応える。
ゆえに彼は家族や仲間を深く愛しみ、見守りながら戦いを続けた。
とは言いながらも西涼の血がそうさせるのか、韓遂とは義兄弟の契りを結びながらも度々意見が食い違い、軍を率いて何度も衝突する事になったが。

「ぶつかり合うことを恐れるな孟起。時に結び、時に争うのが西涼の民だ。大事なのは己が信念を貫くことだ」
戦いの中で馬騰は息子である馬超に説き、その思想に感化された馬超は己の信じた『義』を胸に成長していくことになるのである。

既にこの時から悲劇の種子は蒔かれていたのかも知れない。

第二章 盟約と反目

戦いの中で馬超は様々な敵と出会うことになった。
李寉軍との戦いで賈詡と邂逅した馬超は 「そんな細腕で何ができる!貴様ではオレを止めることも、天下を変えることもできんぞ!」と彼を罵り、見逃した。
また韓遂軍との戦いでは戦闘狂・閻行と激突、追い込まれて恐怖を覚えながらも自分は西涼の錦馬超だ!と己を奮い立たせる。

戦いの中で成長していく馬超、という場面だがなかなかどうして、プレイヤーにはやはり彼の危うさがよく見える。
思慮浅く、直情的で無鉄砲で傲慢、あまりに行動が若い。(なんといっても『西涼伝』第一話では驚愕の十二歳!)
絶妙な描写の仕方である。

それでいて槍を振るえば輝くような働きを見せて人の心を惹きつけ、震わせるのはなぜか。
彼が『錦馬超』だからだ。

そんな馬超に負けていられないと刺激を受ける龐徳に対して、馬騰は孟起に劣らず勇ましいがお前は周囲がきちんと見えていると告げる。
同時に、息子の危うさを見抜いていた馬騰は息子を支えてくれるよう龐徳に頼み、彼もまた常に同じ戦場を駆けると約束するのだった。

第三章 天下の義憤
やがて馬騰は帝を手中に収めた曹操の暗殺を計画して都へ上がるも、そこで一族と共に誅殺される。
馬騰に逃がされ、生き残った馬岱により父や弟たちの死を知らされた馬超が咆哮する。

「この身を動かすのは天下に漂う声無き声!この怒りは天下の義憤!他の何を失おうとも必ず曹操を、天下を牛耳る奸雄を討つ!」

はいダメー!

この瞬間から『錦馬超』の悲劇が始まった、と言えるだろう。
憤怒、憎悪、苦痛、悲嘆。 それらを彼は自分のものではなく、天下のものとしてしまった。勝手に。

誰が乱れた天下を平定しつつある曹操を討つことを望んだろう。
誰が西涼の民たちを巻き込んで戦うことを望んだだろう。
これらは馬超自身の望みに他ならないにも関わらず、彼は己を天下の声の代弁者に押し上げてしまったのである。

とはいえ、その心情は察するに余りある。 天下のために乱を起こし続けてきた父の願いと、それを失った哀しみ。
西涼の民から『錦馬超』として寄せられる期待と、それに応えたい己自身の心情。
かつて閻行と戦った時のように不安と恐怖を押し殺し、彼は高らかに曹操への復讐を大義として掲げ、戦いを始めるのである。

永遠に満たされることのない、義憤の為の戦いを。

第四章 叛の行く先

馬超率いる精強な西涼軍は長安を抑え、曹操軍と対峙した。
武によって相手を圧倒する馬超は、曹操をあと一歩のところまで追い詰めるが曹洪や許チョの活躍で取り逃がしてしまう。

「ただ一人の男を殺しただけで天下を動かせると思っているのか、馬超!」
曹操から投げかけられた問いを無視して問答無用で突き殺そうとする馬超。 そりゃそうだ、答えられないんだもの。

戦後、曹操の軍師となっていた賈詡は離間の計を用いて、韓遂と馬超を引き離しに掛かる。
かつての韓遂軍との戦いの中で血族を失っていた馬超の中に、一度芽生えた疑念は留まるところを知らず。
やがて誰の言葉にも耳を貸せなくなった馬超は精神的に疲弊し、どんどん自分を追い詰めていくのである。

「武だけを頼りに乱を起こした時点で、君の負けは決まっていた」戦場で再会した賈詡はそう宣言する。
馬騰の見据えていた展望は無く、韓遂が願う「生きるために戦う」という行為にもそぐわない。
馬超が己の復讐のためだけに大勢を巻き込んで動いているのを見抜いていたかのような物言いである。

かくして細腕の軍師によって食い止められた馬超は再起を図り、西涼へと撤退を余儀なくされた。
また時を同じくして龐徳は曹操によってその才を認められ、魏国への勧誘を受けるが馬騰との約束を盾に誘いを撥ね付けている。
目的を果たせず失意の馬超に声をかける龐徳。

「前を向け。勝っても負けても明日は来る。抗うために……今は生きるんだ」

孤高

再び曹操軍と戦うために兵を集める馬超だったが、その孤独はいよいよ深まり、心の平衡を失いつつあった。
冀城の戦いにおいては決意の強さを世に知らしめるため、と称して降伏した敵将との約束を破って処刑してしまう。
これにより王異を主とした反馬超軍が結束を固めてしまう結果になった。

本当に見てるのが辛い場面である。
『錦馬超』らしからぬ言動に、馬超の苦悩と混乱、苛立ちが見て取れる。
人の声にも耳を貸せなくなっている馬超の姿を見て、龐徳と馬岱が述懐する。

「戦いを重ねていくごとに孟起殿は孤独な道を行こうとしている」
「その姿を美しいというものもいれば、恐ろしいというものもいる」
「このままでは最後には俺たちも遠ざけて一人で曹操を追って行ってしまう気がする」

馬岱がぽつりと返す。
「……そうなったとしても、私は孟起殿とともに行くだろうな」

「オレもそのつもりだ。だが」龐徳はわずかに口をつぐみ、続ける。
「その時、孟起殿は錦の輝きを曇らせずにいられるだろうか」

その不安は的中する。

「哀しい男ね。今のそなたに大義はない。そなたが宿しているのは大義ではなく、醜い私憤よ」
王異にずばりと痛い部分を突かれ、激昂する馬超だが口から出たのは「き、貴様ぁッ!」という罵声のみ。
本当は自分でも気がついているのだ。自分自身のエゴであることに。

「そなたは独り。どれだけ強くても真の勝利はないわ」
更なる王異の挑発に単身で特攻を仕掛けようとする馬超を龐徳が必死に抗うために生きろ、と食い止める。
ひとりじゃないんだよー、そうやって体張ってくれる仲間がいるじゃないかー、と思うも馬超の目には、まぁ入ってないんだこれが。

「故郷を失い、兵を失った俺たちは歩みを止めた瞬間、再起の機会を失う!前に行くしかないんだ!わかってくれ龐徳!」
悲痛な覚悟の裏に、他にどうすればいいんだという本音が見え隠れする馬超の絶叫。
その動揺の隙を見逃さず放った王異の矢が、馬超をかばった龐徳を深く傷つけ、ようやく正気に帰った馬超は撤退した。

失意、孤独、届かぬ槍。
胸に燃え盛っていた炎は消え、痛みだけが残っている。

「……何もかも失った」
張魯軍に飼い殺しにされ、絶望の底に落ちた馬超の独白に被せて、静かに闇が落ちていく。


------------------------ き り と り せ ん ----------------------------------------


なんだこれ!つらいよ!
後半ひいひい言いながらプレイしてましたが耐えきれませんでした。

第五章『傷ついた錦』からは馬超が叛撃から白銀に変わり、蜀入りまでの経緯が描かれるものと思われます。
恐らく『西涼伝』で大筋のテーマとして設定されているのは『錦馬超と呼ばれた男の崩壊と再生の物語』なのかな、という気がしております。
馬騰からそのまま引き継いだだけの天下、義憤という曖昧なビジョンから解き放たれ、本当の意味での『己の信念』を見つけるまでが描かれる……といいなあ!

欝展開から盛り返しはお約束ですからね! 歯ぁ食いしばって続きをプレイしたいと思わせてくれる見事なシナリオでした。

みんなもやろう、西涼伝。


(※1 文中のセリフは画面のものを記憶を頼りに書き起したものですが、間違ってたらスミマセン)
(※2 いろいろ語ってますが解釈違い等などあるかと思われます、平にご容赦下さい)
更新日時:2019/08/08 03:04
(作成日時:2019/08/08 02:51)
コメント( 1 )
野獣先輩24
野獣先輩24
2019年8月8日 12時50分

皮が多めのふぐりおじさんかわいい

コメントするにはログインが必要です
シェア