(茶番のみ
「ふえぇー、じぃじー!」
「まーたアニキに怒られたのか?」
もう何度目のことか、数えるのも面倒になった
「父ちゃん、母ちゃん、きらい!」
「あぁ、わーったわーった……とりあえず家に入れよ」
「ひぐっ、ぐすっ…」
まーたこの嬢ちゃんはなにしたのかねぇ……アニキに連絡を入れておくか
『おーい、おめぇんとこに』
「来てる来てる、今日は何したんだ?」
『俺の大事にしてる壺わっちまっちよ、思い切り怒ったら逃げ出して…母ちゃんにもしこたま怒られてたから、だーいぶ泣きじゃくってるだろ』
「あぁー、父ちゃんも母ちゃんも速度あがって刺さって撤退しちまえっていってるぞ」
『…………壺とかの掃除もあるし、今日はそこで寝かせてくれねぇか?』
「あぁ? 無理に決まってるだろ」
『いつもそこで相手してもらってるだろ? 頼むわ、そんじゃ』
「あっ、アニキまてっ……あーぁ」
相変わらず無茶苦茶なこと言いやがって……
「おい、嬢ちゃん」
「ヒグッ……グスッ……なぁに……?」
「今日は俺の家で寝るか?」
「いいの!? 寝る!」
まあ、いつもこんな感じで言うんだが……まぁ、今日は夜くらいまでか……?
「うわぁぁん! おうち帰る!」
「あーあー、やっぱり帰るか?」
やっぱり、アニキと姐さんが恋しくなるからか、帰りたいってぐずるんだよなこの嬢ちゃんは、寝るって言って準備してる途中でのそれはかなりダメージでかいんだぞ……?
「帰る……父ちゃん、母ちゃん、謝る……」
「よーしよし、俺もついてってやっからな」
夜の道を一人で帰らせるわけにもいかねぇし、そもそも今日帰ってくるとは思ってねぇだろうしな
「父ちゃん、ごめんなさい……」
「おう……ワシも言い過ぎたわ」
「ほら、ご飯冷めないうちに食べな」
姐さんのほうは帰ってくるってわかってたのかもな、アニキとは違うらしい
そんじゃ、家族の団欒を邪魔するわけにもいかねぇし……帰るかね
「ほら、あんたも食べていきなよ」
「おう、おめぇもこい!」
「じぃじ! たべよ!」
「あー……わかったよ」
それから数年後、嬢ちゃんはパタリと来なくなった、アニキに聞いたが詳しくは教えてくんなかった、ただ、嬢ちゃんが俺宛に手紙を書いていた。
きったねぇ文字で、読むのも苦労したが、要約すると、また俺に会いたかったけど、そんな時間がなくて手紙でごめん、遠くに行ってもう会えないかもと、そんなことが書かれていた。
「…………」
「わりぃな、おめぇにも伝えなきゃいけなかった」
「いいよ、アニキはそういうの苦手だってわかってっからよ」
「……面目ねぇ」
皮肉混じりに兄貴に八つ当たりしたことは、今でも申し訳ないと思ってる
「……嬢ちゃんにはもう会えない、か……」
自分の家に戻ってから、俺は手紙を何度も読み直した、嬢ちゃんとはたくさん遊んであげたし、髪飾りも可愛いからと買ってあげた、そういや少し遠いけどギョクジーランドにも連れてった。
「へへっ……あー、そうか……そうかぁ」
涙が溢れてきた、嬢ちゃんを思い出せば思い出すほど。
別にアニキの娘の世話をしていただけなんだが、俺にとっちゃかけがえのない子だった。いなくなるというのが、こんなにも大きな穴になるのかと、痛感した。
────────
「……てなことがあったわけよ」
「長い」
「妄想乙」
「この感動話持ってきての感想をその一言で言いやがるおめぇら二人が大嫌いだよ、ったく」
「わ、私は好きですよその話、この子の思い出話、今度聞かせてほしいです」
「おう、趙ちゃんには今度話してやるぜぃ」
「だってほんとに長いんだもん、この子か誰だーって聞いただけなのにさ」
「姪、だけでいいだろ」
「あーあーわーったよ、お前らにはもう二度と昔話はしてやんねぇ」
……ああ、さっきのは魔王の旦那が重要な話があると俺ら親衛隊は軍議室で待たされてる間に俺の持ってる写真の子は誰なんだ話だったわけ
にしても、旦那遅くねぇか……?
「悪い、遅くなった」
「魔王さまおつかれー」
「魔王殿、お疲れさまです」
「旦那ぁ、話ってなんだい」
「あぁ、新しいやつを呼んだ、ほら入ってこいよ」
魔王の旦那が促すと、その新入りとやらが部屋に入ってきた。
「あ」
「……む」
「あっ」
「……おいおい」
……わりぃ、新入りって呼び方は訂正させてくれ
「じぃじー! 久しぶり!」
花鬘きおったー
今後どう活躍するのやら
祝融の震撃を撃つときに刺さってピンチに
私です
今回は「」の前に名前書いてないけど、誰が喋ってるのか分かるのマジすげえと思う。
これは……餌!?
すごい良い話だったのにバッサリ斬ってくる面々に涙を禁じえません。
速効性のある計略持ち、ですか。カマン、つよい!
新メンバーは花鬘ですかな♪
話もとても良かったので、活躍が楽しみですな。
コメントいいねありがとうごぜーますだ
まさかのいいね20にびっくりしている、あ、花鬘ちゃんを使う予定は今のところ薄いです、はい
ハコニワに、たまに出てくるかもしれないです