今年は感染症対策のため武将たちへの贈り物をお受け取りすることができませんが、
その代わりにバレンタイン~ホワイトデーの期間にかけて、2020年4月~7月に投稿しておりました企画を再開!
本日からミニ色紙を元にした小話と、そちらに登場する武将たちの裏話を公開いたします!
タイトルを変えて第一回となる今回、ご紹介する色紙はこちら!
【頬に紅、瞳に光】
落ち着いて、薄く、表面を撫でるように……こ、こう?
うん、とっても上手よ。さあ、鏡を見て?
……違いが判らない。やっぱり無骨者のアタシには化粧なんて似合わないわよ。
あら、こんなに可愛いのに。元々のお顔がとても綺麗だからかしら?
ふだん鏡を見ないから……でも、お前の瞳はいつもより輝いているように見えるわ。
ふふっ。髪を整えたり、紅をさしたりすると、女の子は強くなれるの。
強く……? なら、もう少し勉強してもいいかもしれないわね。
それじゃいっぱいお話しましょ。わたしはお化粧のこと、あなたは戦場のことを。
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この色紙に登場する武将たちは、こちらです!
まずは一人目、胡芳!
◆武将紹介
胡芳は胡奮の娘で、胡烈の姪です。
眉目秀麗だったため司馬炎から後宮に招かれましたが、その際に衆目を気にせず父と共に泣き崩れたといいます。
父・胡奮は根っからの武人だったため、外戚となり政争に巻き込まれることを嘆いたのかもしれません。
後宮に入った後も司馬炎の寵愛を受けようとは考えず、常に上品で飾らない態度を取り続けましたが、逆にその姿勢を司馬炎に愛され貴嬪に立てられました。
剛直さは父譲りで、投壺(現代のダーツのような遊び)をした際、過失で司馬炎に傷をつけた時に「やはり無骨者の娘だな」と笑われたのに対して、「全土を征服したあなたには敵いません」と真っ向から言い返しました。
◆裏話
第三弾で初登場した勢力、晋。旧作では未登場であり、他のゲームでもあまり描かれない時代/勢力です。
そのためどのキャラも第一印象を強めるべくコンセプトを練りましたが、その中で胡芳は、
晋の登場時、唯一の戦姫として設計しました。
父の胡奮をはじめ、胡一族は荒々しく勇ましい武人としてキャラクターを作っているのですが、
ご多分に漏れず胡芳も
「一匹狼のスケバンのようなイメージ」というコンセプトで発注しました。
第三弾の晋では、剣や鎌など武器を持っている女性は他にもいましたが、手甲などで武装しているのは胡芳だけでしたね。
アーケード版のイラストは戦姫らしく勇ましいイメージを盛り上げるため、
「高いところに向けて、弓矢を構えている。視線には寸分の揺るぎもない。」というシチュエーション。
ぽけっと版のイラストは司馬炎との逸話を広げ、真っ向から言い返した気概を感じさせるべく
「数本の矢を入れた壺を持ち、クールな様子で矢を手にしている。」というシチュエーションです。
カード枠で見切れてしまっていますが、実は左手の先には矢が入った壺があるのです。
今回のミニ色紙の裏話になりますが、初めは二人の表情が現在のものと異なっており、
胡芳が刷毛を持って満足げな表情、化粧された杜夫人が鏡を見て驚いている表情をしていました。
こちらも非常に魅力的だったのですが「胡芳の無骨な性格からすると化粧は苦手であってほしい!」という希望が強く、
現在の恥ずかしがっている表情に調整を依頼しました。この場を借りて、ゆきさめさんに改めてお礼を申し上げます。
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続いて二人目、杜夫人のご紹介!
◆武将紹介
杜夫人は、呂布に仕えた武将・秦宜禄の妻です。
しかし秦宜禄は袁術への使者となった際に、袁術から皇族の娘と婚姻するように強制されて杜夫人と離縁させられてしまいます。
その後は独り身でしたが、呂布軍が滅びた際にその美貌から関羽や曹操に見初められた末、結局は曹操の側室とされました。
曹操からの寵愛は甚だしく、金郷公主らをもうけたほか、連れ子の秦朗も愛され重用されました。
◆裏話
第一弾の魏の杜夫人が「時代に翻弄される籠の中の鳥」というイメージなのに対して、
第四弾の群雄の杜夫人は「小さな空を自由に飛ぶ無垢な小鳥」のようなイメージで描きたく、
「まだ乱世に翻弄される前の、ささやかな幸せに包まれた少女」といったコンセプトで発注しました。
外見のイメージにも
「長い髪をなびかせた絶世の美少女。」と、ヒロイン感のある文言を使っています。
シチュエーションでも魏の杜夫人との明確な差別化を意識しています。
魏の杜夫人がどちらのイラストでも暗い室内にいるのに対して、
群雄の杜夫人は
「暖かい日差しの中、小鳥を手に乗せて幸せそうに微笑んでいる。開放的でのどかなイメージです。」としました。
イラストを見てみても、リボンやお花があしらわれた衣装も相まって乱世とは縁遠い場所にいるように感じられますね。
まだ乱世を知らない少女なので、カード裏セリフでも自分が生きている時を「優しい日々」と呼んでいますし
一騎討ち開始時のボイスも
「これが、乱世……」と初めて厳しい現実に直面したかのようなセリフになっています。
世間知らずと言ってしまえばそれまでかもしれませんが……
もしも現代に生まれていれば、色紙イラストのようにお化粧にも興味津々だったのかな? などなど、想像が膨らみますね。
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今回はここまでです! また次回、お会いいたしましょう!
胡芳
「化粧のやり方なんて、この歳まで知らなかったわ。お前はアタシの知らないことをよく知っているのね」
杜夫人
「わたしも戦場のことは知らないもの、お互い様よ。そうだ、今度は一緒に甘いお菓子を作りましょ?」
胡芳
「興味はあるけど……きっと、アタシが手伝ったら黒焦げにしてしまうわ」
杜夫人
「ふふっ、大丈夫よ。二人で一緒に作ったら、それだけできっと美味しくなるから」