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『携帯ゲーム史三国志』の話・7

by
四天王FAL
特イベ
特イベ
四天王FAL
~あらすじ~
 
ゲームボーイに三度の攻勢をかけるネオジオポケット。
揺るぎない情勢に切り札のソフトを投入していくが、終焉は別の所から押し寄せる…
 
 
★★★★★★
 
ハードの廉価版や、大衆向けソフトの充実を図り、まさに祁山で屯田制にて食糧難を補おうとした蜀軍の如く、粘り強く戦うネオジオポケットだった。
 
この頃には、
『メタルスラッグ2ndミッション』
『幕末浪漫 月華の剣士』など、
ようやく他社に対抗できる名作も発売。
特に月華の剣士は、単なる移植作としてではなく、イラストギャラリーやミニゲームなど、バラエティに富んだ仕様になっていてファンは喜んだ。
 
しかしながら、ここまでの様々な施策は不調で、
 
『高速処理によるスピーディなアクション性』
『無線ユニットによる大人数の同時対戦』
は、最初のハードの買い控えやソフトのラインナップの弱さから強みを出しきれず、
隠し玉的な要素としてあった、
『ドリームキャストとの連動』
と言うギミックも、対応ソフトが少なすぎる事や、わざわざドリームキャスト版とネオジオポケット版両方のソフトを買うのも消費者には厳しく、
また、追加要素もそれほど良いものではなかった。
 
その現状でも、SNK社員は必死で努力したのであろう、
その後のラインナップは、
 
『伝説のオウガバトル外伝』
 
スーパーファミコンで発売された名作のオウガバトルを、サブストーリーながらオリジナル内容で移植。
 
『コットン』
 
同名ゲームの移植作。コアなファンは反応せざるを得ない。
ネオジオポケット唯一のシューティング。
 
『デルタワープ』
 
スピーディなステージクリア型のパズルゲーム。
サイバーな雰囲気で淡々と続くゲーム進行と、タイムアタックをこなしていくスリルが最高。
 
『がんばれ!ねおぽけ君(仮)』
 
ねおぽけ君と言う不思議なキャラの育成ゲーム?
ねおぽけ君の機嫌が良ければ、次第にミニゲームを作ってくれる。
このミニゲームが、ゲーム業界の歴史になぞらえた名作を作ってくれる。
(ポン→スペースインベーダー→ブロック崩し→餓狼伝説→ときめきメモリアル→UFOキャッチャー→信長の野望→バーチャロンなどなど)
 
『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』
 
今でこそセガが他のハードにゲームを出すのは当たり前だが、本来はセガは自社ハードにしか供給しなかった。
が、その先駆けとしてネオジオポケットに登場したのが今作。
ネオジオポケットの長所であるスピーディな操作性と、迫力ある演出もさながら、マップ内にあるピースを集めてイラストを完済させたりと追加要素も多い。
 
よく、ソニック・ザ・ヘッジホッグの歴史年表が、ゲーム雑誌などで書かれるが、
ここでは何故かネオジオポケット版のみ弾かれている事が基本となっているが、紛れもなくネオジオポケットを代表する名作(開発はセガとSNK共同)
ちなみに起動時にはちゃんと『セ~ガ~♪』と発音する。
 
 
『キングオブファイターズ・バトルDEパラダイス』
ドカポンや桃鉄などでお馴染みのボードゲーム型のアクション。
KOFキャラを操作して、様々なミニゲームをクリアして相手より得点多くクリアを目指す。
ドリームキャスト版KOFとも連動している。
 
『COOL COOL JAM』
ドリームキャストソフト『COOL COOL TOON』のネオジオポケット版で、連動ソフト。
唯一の音ゲーで、かつRPGと言う異色作。
 
 
他にも、各ハードにギャルゲーを出しているメーカー『キッド』から、
『ポケットラブif』に続いて、
『メモリーズオフpure』
『インフィニティCure』が発売されていたり、
スポーツゲームとして、
ADK最後のソフトになる『ダイナマイトスラッガー』や、
『ビッグバンプロレス』なども出ており、
ソフトの多彩さは決して妥協していない点が伺える。
 
しかし、ここで事態は一変する。
 
敵の遊軍が蜀軍の本体をすり抜け、首都を陥落させてしまったかのような出来事が襲う。
 
そう、SNKが倒産してしまうのである。
 
元々、ゲームセンターとして『ネオジオランド』をお膝元大阪で経営していたSNKは、
次にアミューズメント繋りで、ボーリング場の『ネオジオボウル』、
果てはお台場に遊園地『ネオジオランド』まで手掛けるも、失敗。
2001,4,2に民事再生法を申請するも、
同年10,30には見通しが立たず倒産。
その負債額、なんと380億円である。
当時発売したロト6が一等百回当たってもまだ足りない計算になる。
 
ゲーム事業は、絶えずヒットを出し続けなければならない過酷な経営なので、別の事業を手掛ける事もままある。
 
成功例としては、
エニックスの、出版事業(コミックガンガンなど)や、バトル鉛筆による文房具販売、
ぷよぷよで有名なコンパイルの、本社広島の名物もみじ饅頭を模した『ぷよまん』などがあるが、
 
スクウェアは、ファイナルファンタジーの映画が転けて会社が傾いたし、
格闘ゲームのライバル社カプコンも、ストリートファイターⅡのハリウッド映画で、同じく倒産の危機に瀕した(これはバイオハザードのヒットで持ち直したらしい)
 
レトロゲームマニアには有名なメーカーデータイーストは、なぜか急に椎茸栽培を始めて倒産。
同じくレトロゲームメーカーのジャレコは、逆に副業的な熱帯魚販売業が転じてそちらで生き延びたらしい。
 
 
しかし、ここでSNKが倒産の憂き目に合い、ネオジオポケットの進退も相極まった。
 
その後は提携していたパチスロメーカーのアルゼ傘下になり、(思えばネオジオポケットにパチスロアルゼ王国はやたら出ていた)細々と再建を目指す流れになった。
 
故に、ゲーム雑誌の発売予定リストも、
『パチスロアルゼ王国』や、
『パチスロ ドンちゃんパズル』
など、急にアダルトチックなラインナップばかりになってしまった。
 
しかし、この事で、ネオジオポケットが、パチスロアルゼ王国のソフトと同梱版が、
パ♥♥♥♥店に景品として置かれる様になり、
そう言う層を狙うなら、逆にニーズもあるのではないか?
とも思えるほどであった。
思えば、ゲーマーはスロット好きな人もやたら多く見かける。
 
 
そんな一縷の望みの中で、結局終焉を迎えたネオジオポケットだったが、
苦しい中で最後の最後に発売したソフトは、
『スーパーリアル麻雀プレミアムコレクション』
『SNKvsカプコン カードファイターズ2』
 
SNK、晩節を汚さず、見事な幕引きであった。
 
『スーパーリアル麻雀プレミアムコレクション』は、
脱衣麻雀で有名な伝説のメーカー『セタ』のシリーズ作、P4、P5、P6の人気キャラクターが総登場。
オリジナルストーリーに加えて、脱衣シーンも、キチンと再現されていて、お子様には見せられない。
クリア後は、点数でパネルを消して見れるようになるイラストギャラリーと、
初代スーパーリアル麻雀P2がそのまま遊べる仕様もある。ここで、P2ヒロイン『ショウコ』も追加される、まさに集大成的なソフトである。
ちなみにセタもアルゼの子会社になっている。
 
『カードファイターズ2』は、
ネオジオポケット最後のソフト。
全作のカードファイターズが強力なデッキの仕掛け合いになり、単一なデッキが増えてしまうデメリットを克服。
相手の出札に対して後から出せる『リアクションカード』の追加で、様々なデッキ構築が可能となった。
最後の最後にバランスをプレイヤーのオリジナルデッキを十人十色に許されるまで昇華したのである。
 
こうして、三国の内、真っ先に滅んだのはネオジオポケットであった。
しかし、最後のソフトは、開発がグダグダになり、立ち消えてしまうケースも多いなか、最後の最後まで自社のアイデンティティを貫いたネオジオポケットの事は、
語る人が少なくとも歴史に名を刻んだと言えよう。
 
つづく
 
 
 
 
 
 
 
 
更新日時:2020/05/21 01:26
(作成日時:2020/05/21 01:04)
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ネタ
コメント( 7 )
7件のコメントを全て表示する
四天王FAL
特イベ
特イベ
四天王FAL
2020年5月21日 22時25分

>金村保坂非道さん
自分も友人とネオジオポケットやってたので、楽しい思い出ですね。
やはり、共通のものをやると話も合うから楽しいです。
それは、桃園の中でもそうなんだと思います。

ミルティーナ
ミルティーナ
2020年5月21日 22時49分

携帯ゲームではないけど、天外魔境3がPCFXで出ると聞いて当時買ったけど結局出ずに、ほとんどソフトも出ずに人生で一番無駄な買い物でした。
そういえばスペースファンタジーゾーン出たのかな(^_^;)

四天王FAL
特イベ
特イベ
四天王FAL
2020年5月22日 12時15分

>ミルティーナさん
PCFXも残念でしたね。
思えばあんなに普通のパソコンよりなら、パソコンからのギャルゲー移植も本家をやれよってなりますからね。
天外魔境とかのオリジナルソフトが欲しかったです。
スペースファンタジーゾーンは、テストロムがヤフオクに出てた時期があったかと思います。
景気の悪さがソフト開発にもろに影響出てた感じですね。

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