特技『城』

最近気が付いたことがあります。
もしかして……もしかしてですけど、皆さん……丁原を使ったことがない？？

あの丁原を？

世界最強、天下無双、向かうところ敵なしの男の義父を？

何故……？





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まあ、少し落ち着いて話そう。まずは、この宇宙の神秘についてだ。
宇宙はビックバンにより生まれ、神は七日目に丁原を作った。
つまりは、そういうことだ。



中国には四千年の歴史があるが丁原には百三十八億年の歴史がある。そして我々の人生はせいぜい八十年である。
如何に丁原が凄まじい存在であるかは、カードを見るだけで体で感じることができるであろう。

え、感じない？
……馬鹿な、組織が既に妨害をしているとでも言うのか？



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それはともかく、神は七日目に丁原を作ってないけど丁原は七日目に作られた休日を無限に謳歌するタイプの人間であったはずだ。
毎日が日曜日。学校の中に遊園地。
やな宿題は全部ゴミ箱に捨てちゃえ。

こうしてゴミ捨て場に行った丁原が道中で拾った子犬。

それが運命の相棒。

特技『城』だったんだ。





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こいつを得た丁原はまさに水を得た魚。つまり丁原と特技『城』は水魚の交わりであるわけだ。
二人の絆は金をも断ち切る。丁原と特技『城』は断金の交わりでもある。
世が世なら彼らの感動の出会いから成長を描いたドキュメンタリー映画が作られていることだろう。

その威力たるや！　（敵城が）粉砕！　玉砕！　大喝采！

同盟将器という、本来は必要に迫られて仕方なくつける最大士気以外に寄与しない将器を、彼と特技『城』が持つ断金水魚の交わりは巨大兵器＜エクスカリバー＞へと変える。光あるところに影あり、相手が攻め来るところにすれ違う端攻め騎馬あり。輝ける聖剣は小汚いおっさんにこそ相応しい。それが人類が持つ「天秤」ってやつだ。

意味不明だって？　つまるところファルシのルシがコクーンでパージってことさ。

更に丁原はこの頃、義理の息子に漢呂布を迎えた。



特技『城』と呂布。まさに聖剣と魔剣の二つを手にした丁原は、向かうところ敵なしだったのだ。征圧がフラットな時の俄何焼戈くらいには敵なしだった。



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しかし彼が董卓と出会った時、運命は動き出してしまった。
董卓は丁原の義理の息子、呂布を丁原と引き離すため、＜特技『城』連環の計＞を仕掛けたのである。

董卓は呂布が特技『城』を欲しくなるように勧め、その良さを説いた。呂布はこの策略に嵌まってしまったのだ。
特技『城』を巡り、いつしか争い合う呂布と丁原。
そして……結果は誰でも知っている通りだ。呂布は丁原を斬り殺し、そして、特技『城』と親子の誓いを結んだのである。

特技『城』は遂に呂布のものになったのだ。

ここまで読んだ読者の皆は悲嘆に暮れていることであろう。何故、あの丁原が。第一話から小汚い酒飲みとして皆に愛された丁原がどうしてこんな目に合わなければならないのか。人気投票で呂布に負けたのか。海より深く、大水計よりも滔々と流るる悲しみが、皆を襲っていることと思う。

だが、敢えて言おう！　丁原はまだ死んではいない！
そう、丁原は皆の心の中に生きている。
だって丁原は宇宙の神秘、七日目に作られた休日を謳歌する男、そう、おジャ魔女なのだから。

ちなみにこれだけ特技『城』を勧めたにも関わらず漢董卓が特技『城』を持っていなかったのが、のちに起こる二人の仲違いの原因であったという──。







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これが漢呂布と丁原が同じデッキに全然入ってくれない真相である。
丁原を1000回使って彼から聞いたので多分間違いない。4％くらいは真実が含まれている。
え、そんな話を聞いていたんじゃない？　まあいいじゃないか。酒の席で喋っているうちになんか話題が脱線しているのはよくあることさ。


とにもかくにも、丁原を使ったことのない人の空にも今、丁原はいるのだ。なんとかの風になって、この大きな空を吹き渡っているのである。







この記事を通して何が言いたいかっていうと、この特技『城』持ち1コス騎馬ヤバいよね。