専横を極めた"魔王"董卓が倒れた後、天下を二分する勢力となっていた袁紹と袁術。
先に倒れたのは、-というより自滅したのは-袁術だった。
これに続いて、至強・孤高の武を誇った呂布も遂に滅亡の時を迎える。
袁術・呂布を倒し、勢いに乗る曹操。
身分より才能を重んじ、配下に"精鋭"を取り揃える。
公孫瓚を倒し、河北を手中に収めた袁紹。
名族の名声と威光の下に集った配下は、皆"威容"を誇る。
天下の覇権を握った、幼馴染である二人の群雄。
200年、両者の激突は目前に迫っていた。
曹操は、幕下にあった劉備を信頼しきっていた。
袁術討伐、呂布討滅において、劉備は曹操によく協力していたからであり、劉備も強かに、″よき盟友″を演じきっていたからである。
が……
『"曹操暗殺"の陰謀を企む者たちあり』
の報が、曹操にもたらされる。
首謀者は献帝の側近である漢臣・董承。
これはまだ予想の範囲内。
しかし、連署した疑いのある共謀者の名を程イクより告げられた時、曹操は愕然とした。
信頼を置いていた劉備の裏切りに、
『劉備を見る俺の目が曇っていたということか…』と悔恨をにじませる曹操であったが、
-妙に人心を掴み、関羽に張飛まで従える劉備という男。敵となっては、我が覇道に取って後顧の憂いとなるに違いない-
即座に劉備討伐を決断。
しかし。
劉備討伐に向かうと、激突必至の袁紹に後背を取られることになる。袁紹が千載一遇のこの機を逃すであろうか?
-討伐は断念せざるを得ないのか-
その時、いつものごとく論陣に遅れてきた″無法者″郭嘉が、『否、機は我らにあり』と説く。
郭嘉は袁紹という男の性を見抜いていた。
″実″の利よりも、″体″の理想を求め、追求するのが袁紹であると。
王道を求める袁紹は、正々堂々を重んじ、卑怯や搦め手を嫌う。
例え勝機があったとしても、″体″のためにそれを見逃す。
自分に絶対的自信を持っているがために。
裏返せば、それが袁紹の弱さであり、その脆さを突けることこそが我々の強みであると、郭嘉は見通していた。
幼い時から、袁本初という男を見てきた曹孟徳も、この説に大いに納得する。
『袁紹、動かず』
確信した曹操は、劉備討伐に自ら出陣。
徐州・小沛城を守る張飛の夜襲を見抜き、裏をかいて誘き寄せ、迎撃&追撃。
張飛は敗走し、城は瞬く間に落城に追い込まれる。
裏をかかれ悔しがる張飛に、
『劉備には、関羽と張飛という、″武″を担う者はいるが、人の心を読む、″智″を担う軍師がいないのだ。』と言い放つ曹操。
-この、自らの弱味を認識した劉備が、″伏龍″の下を訪れるのは数年先のこととなる-
そしてこの時。
曹操は袁紹との決戦での"切り札"となり得る存在を手に入れる。
義の武人″関羽″。
義への篤さが過ぎるこの男は、小沛城に残った劉備の妻子たちを放って逃げることなどできず、その命を救うため、曹操への苦渋の投降を選んだのであった。
この関羽の決断が、官渡決戦における″大番狂わせ″の一つにつながることとなる。
思いがけず、関羽を手に入れた曹操。
華雄を討ち、呂布と渡り合ったその武に期待を寄せつつ、その目には闘志の炎が燃え盛った。
幼馴染・袁紹との運命的な激突は、目前に迫っている。
To Be Continue…🔜
郭嘉は一時期殿の下にいたらしいので、実際に見て性格をよく分かっていたんでしょうね。
迷惑な男よ………⚡⚡⚡
殿の性格をよく知っていたとは言え、一歩間違えば自分達が窮地に立たされることを考えると、これを言える郭嘉という男は恐ろしいですね…
それに乗る曹操も同じものを感じるというか…
劉備討伐をたった3ステージで終わらせてしまう悲しみ。
それはそうと、実は蜀の第11章は魏の第11章の裏話になってたりするので、興味あれば是非。