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過去作から見る 武将の悲喜交交

by
おかか容疑者
おかか容疑者

2005年3月からゲームセンターに姿を表し、現在まで長い時を歩み続けてきた三国志大戦。
これまでの歴史の流れの中で、数多の武将が現れ、そして消えてゆきました。

今宵は老兵がひとつ、過去作においてとりわけ特徴的だった武将(=セガの被害者たち)に関して、つらつらと書かせていただこうかなと思っております。
過去を知る方も知らぬ方も、今までの歴史に思いを馳せながら楽しく見ていただけましたら、これ幸いにございます。




●牛金




説明不要。
名前のせいで牛キャラにされてしまった悲運の武将。


勇猛こそ付いてはいますが、残念ながら魏にはハイスペック騎兵の楽進の存在がありました。
加えて奮起戦法(現在の憤激戦法)は士気も重く、また1コスト騎馬を回復したとしても大した戦果は期待できない。

というわけで、特に活躍の場が与えられることのない、良くも悪くもコモンらしいカードでした。




しかし。

このイラストを描いたF.S先生は違った。
大戦プレイヤーでもあった先生は、たとえ周りのプレイヤーから楽進を薦められても、この牛金を使い続けたのです。(その模様は三国志大戦公式ムックの4コマ漫画から伺えます)
加えて本人による女体化画像ができたりして、牛金は一部にカルトな人気を誇る武将となっていきました。





月日は流れ、三国志大戦3。






まさかの牛金復活。

しかも今回は新しく猪突猛進を引っさげての登場です。



稼働初期のうちは相変わらず楽進にお株を奪われている状態でした。

しかし、武力依存の低くなった後期のバージョンにおいて、彼はついに目覚めます。
荀攸、そして群雄の愉快な仲間たちとともに「7枚象大水計ワラ」を率い、その中で猛進により敵を蹴散らすエースとして走り回る牛金の姿が、そこにはありました。



ついでにカードを入手するために牛金がひたすらCPU代表として狩られていたことにセガが目をつけ、遊武錬の章にて強くなった一般兵を率いたハイパー牛金軍なるものも登場。
プレイヤー達を恐怖に突き落とした(?)のでした。




大戦4でも変わらず猪突猛進で走り回っている牛金。
ドン底人生から一躍、時代の勝者まで登りつめた牛金は、三国志大戦におけるアメリカンドリームの体現者と言ってもよいのかもしれません。
(中国だけど)






●呉懿




蜀の1コスト槍兵。
3/3無特技、士気6で勢力問わず回復させる「援軍」持ち。



三国志大戦の稼働直後、インタビューを受けるセガスタッフ。
「デザインとして魏は高コストを強く、蜀は低コストを強くした」という旨の発言を受け、

「しかし魏には低コストでも強い楽進がいますが?」と質問するインタビュアー。



そこで返ってきた答えが、


「蜀には呉懿がいるじゃないですか(笑)」




そう、呉懿は蜀における楽進だった!!!!



ご覧の通り、スペック的にはただの平凡な槍兵であり、武力4の楽進と比べるべくもないのは一目瞭然。
(もっとも当時は1コスト武力4の槍や弓はいなかったので最高武力帯ではある)
計略も勢力指定なしと言えば聞こえはいいですが、ただの回復で号令並の士気を喰うのはあまりにも重い。
楽進を担うにはあまりにも辛すぎる存在でありました。




上記の回答から「呉懿(笑)」と呼ばれるようになる呉懿。
大戦3では騎馬になったりとイメチェンを図るもやはりパッとしなかった呉懿。
大戦3のカードなのに似たような性能の糜竺(大戦2のカード)と枠を争うことになる呉懿。



そして今作。
今作でも徹底してコモンであり、相変わらず(笑)なのかと思いきや、城持ちの強烈な攻城術という独自性により、登場から人気がうなぎ登りという快挙を成し遂げました。
なぜか酒飲み属性も付与された呉懿。ようやく手に入れた居場所、いっぱい祝杯を上げていただきたい。





●蒋欽




スターターに入っていた呉の弓枠。

5/3 無特技の遠弓戦法。

まあね、スターターのカードですし。多少スペック悪いのはわかるんですよ。



でもね。






同じ勢力で完全下位互換出すのはダメよぉ!!!!

(曹彰と関平は勇猛があるとか知力が1高いとかでギリギリ下位互換は免れている)



そんなわけで、稼働開始時の時点ですでに資産がない時専用のカードとして位置づけられてしまいました。
デッキに2枚遠弓戦法が欲しい時には入るのですが、そんな状況があるわけもなく。

この残念さ加減と、撤退時の「もう動けねえ」というヘタれた台詞が受け、三国志界隈の隅にコアな蒋欽ファンが生まれることになるのでした。




その後も時には号令を持ったり、時には武力弓パーツになったりと迷走多彩な活躍を見せる蒋欽。

今作では遂に独自計略を持ち、環境トップまで使われていると聞き(私は漢追加から始めた)、
見てみたらえらいイケメン&性格イメチェンにより以前の暑苦しさが微塵も無くなった彼を見て、あぁ、人は変われるんだなというのを実感したのでありました。





●邢道栄




けいどうえい と読みます。
1コストの歩兵ながら武力4、加えて勇猛と復活持ちというハイスペックな1枚。


この手のカードが入るのはもちろんワラワラデッキであり、特にコスト比攻城力という概念がなかった当時は低コストでも歩兵の攻城力は強烈。
このオッサンが端から走ってくるだけで、おいそれと放置はできないのでした。
「ふへっ、俺の、勝ちだるぁ」という独特なセリフ回しが耳に残る方も多いのではないでしょうか。

大金星リプレイの話はやめよう。





それはいいとして、問題は彼の所属軍。
他軍の顔とも言えるゴリ(張梁)を始め、他軍に多い黄巾賊と一緒にワラワラしている事が大半なため、彼自身も黄巾賊なんだと思う人が続出。
名前が三文字で長かったり、イラストが明らかに賊っぽい、いかついオッサンなのも一層拍車をかけます。



彼の君主は劉度であり、曹操により荊州の太守に任命されて劉備に降伏した人です。
まあ正直私もよく知らんのですが、邢道栄の名誉のために改めて書いておきましょう。
劉度軍の中でも猛将として名が上がっているようで、一応それなりには強かったのだろうと思われます。
実際当時で1コス武力4以上あったのは邢道栄・楽進・張梁の3枚だけだったはずなので、そう考えると知名度低いのに相当な快挙を成し遂げていると言えましょう。



大戦1以降はとんと参戦しておらず、代わりというべきか今作では似たような能力の波才が参戦。
しかしながらかつてゴリとともに野山を駆け巡った邢道栄のような存在感は発揮できていないのが現状であります。
先輩の姿を胸に抱き、がんばれ!波才!!!





●高覧




名門袁家が誇る1コスト武力枠槍にして、みんなのアイドル。


スペックとか計略とかは正直どうでもよく、彼の真価はそのセリフに詰まっています。




復活しても「よっしゃあ」
攻城しても「よっしゃあ」
一騎打ちでも「よっしゃあ」
落城させても「よっしゃあ」





そう、撤退したときの「ぬぁにっ!?」以外、彼のセリフは気の抜けた声で「よっしゃあ」というボイスに統一されているのです。
カード裏面の「目指すは敵陣、一気呵成に突き進め!」という格好良いセリフはどこで収録されているのでしょうか。



セガによるあまりのやっつけ仕事独特なキャラ付けに、稀代のネタキャラとしての地位を一気に確立。
それに加え、相方の張郃はハイスペックな優良アンコモンなのにこちらは微妙能力のコモンであること、
そして大戦2になってなぜか勇猛が剥奪されたことなどの要素も人気の一因となりました。

袁家の誇るアイドルとして、今日まで長く信奉されている偉大な男です。




今作には未だ登場していませんが、LE復刻としての登場が待ち望まれている(袁家調べ)1枚といえるでしょう。





●馬騰




西涼の雄・馬騰が大戦2にてSRで登場!



スペックは号令持ちとしてはまずまず。
気になる計略は「暴乱の道」
士気6、西涼軍限定で効果のある号令です。



しかしてその計略内容は。




武力と移動速度が上がり、効果中は自城にダメージを受ける。












えっ!?!?!?!?




まさかの暴虐と効果丸かぶり。
しかも勢力や本人のスペックまで丸かぶりです。



まあ暴乱の道の方が士気も重いし、勢力限定だから効果が高いに決まって





武力+5、速度1.7倍、城ダメージ約8%(1部隊)





!?!?!?!?!?!?!?!?








そのSRなのにあまりにもあんまりな性能とイラストから「冬樹」と愛称を付けられ、特に乱を起こすこともなく彼は静かに退場していくのでした……。
大戦3の漢の方はそれなりに使われてよかったね。



~~~~~~~~~~


以上、各勢力から1枚ずつ、思い出を語らせていただきました。

特に最初期の頃は何もかも手探り、ユーザーもメーカーも正解を探して混迷の中を走り回っていた時代です。
しかし模索の末、現在まで大戦シリーズが存続しているからこそ、こうしたエピソードも笑って語っておれるというもの。
今まで大戦シリーズを形作ってきたセガにはやはり感謝したいものでございますな。


今宵は大戦老兵の長話にお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
 
更新日時:2018/09/27 21:16
(作成日時:2018/09/27 21:16)
コメント( 33 )
33件のコメントを全て表示する
おかか容疑者
おかか容疑者
2018年10月5日 8時1分

・9さん
まさかのLE台詞新録はまた伝説になれますね……!
1コス一番槍は現在いないので割と真面目に採用考えたいです。

探究の翼
探究の翼
2018年10月5日 12時46分

程普、手腕を入手するまで使ってましたよ。蒋欽は確かに影が薄かった…。今作でイケメンイケボイスになって、一瞬「誰?」てなったのを覚えてます(^◇^;)
大戦の歴史は振り返ると、とても懐かしく、こうした記事を読むと嬉しくなりますよね。ありがとうございます!

おかか容疑者
おかか容疑者
2018年10月6日 10時1分

・翼さん
あの頃の権坊は使われてなかったですよね。程普も優秀ながら、丁奉と朱桓が2強だったイメージ。
学生だった人間が社会人になってしまって、長いもんだなぁと思いますね。

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