たのしいえんけ7

袁紹｢参ったな、馬倫さんが風邪をひいてしまうとは｣

顔良｢昨今は気温の変化も激しかったですからな。無理もない｣

馬倫｢す、すみません皆様。
　　ご心配をおかけしてしまって……｣

袁譚｢風邪のときの女の人ってやたら色っぽいよな｣

袁尚｢黙ってな譚兄｣

文醜｢しかし、馬倫さんが休むとなると今日の軍議の昼飯はどうするんだ？｣

袁紹｢仕方がない、我々の中で誰かが料理するしかあるまいな。
　　誰か、料理に自信のある者はおるか？｣

陳琳｢はっ。及ばずながら、『俺の料理』は謎のお店まで全てクリアを｣

袁紹｢却下｣




淳于瓊｢…へっ、どうやら俺の出番が来やがったか｣




一同｢えっ｣



淳于瓊｢何だぁ、その気の抜けたリアクションは。
　　　任せとけよ。伊達に兵糧庫の番やってるわけじゃねえんだ｣

袁煕｢そこは関係ないのでは…？｣

淳于瓊｢ちょいと時間をもらうぜ。全員まとめて俺の料理を味わわせてやるよ。
　　　疼くぜぇ………！！｣

沮授｢だ、大丈夫なんでしょうか？(僕らの安全的な意味で)｣

審配｢し、心配だ……｣





淳于瓊｢じゃ、簡単だがカレーでも作るとするか。
　　　……この得物を使うのも久々だな｣

逢紀｢ただの包丁だよなそれ｣

淳于瓊｢まずは材料を徹底的に切り刻む｣

田豊｢老人でも食べやすいように細かく切ってくれると有難いですのう｣

淳于瓊｢任せな爺さん。食べた時、美味さで昇天しないように祈っておくことだ。
　　　……斬斬斬斬斬斬斬ッ！！！！！｣

審配｢うわぁ！は、早い！！｣

顔良｢一分のムダもない包丁さばき……。
　　さすがは武芸者たる淳于瓊殿、刃物の扱いをよく分かっている！｣

袁譚｢料理でコレはやりすぎだと思うけどな…｣

淳于瓊｢材料を刻むのはこんなもんだな｣

袁尚｢玉ねぎもニンジンもすりおろしみたいになってますけど｣

田豊｢…食べやすいには、食べやすい、ですな……｣




淳于瓊｢材料を火炙りにして痛めつける｣

袁煕(炒める、って言いたいのかな…)

文醜｢ん？コンロはあっちだぜ？？｣

淳于瓊｢そんなヤワな炎じゃあ、こいつらには生易しすぎるぜ。
　　　…燃え尽きろぉ！！！｣

沮授｢うわ、手から炎が！？！？｣

袁譚｢グレンカイナ！？！？｣

逢紀｢ものすげぇ強火だねえ。これ、いったいどういう理屈なんだ？｣

淳于瓊｢あらゆる恨みと憎しみが、俺の内にある炎を解き放ってくれるのさ｣

陳琳｢なるほど｣

袁紹｢いや分からんだろ｣







審配｢いい具合にできてきましたね｣

淳于瓊｢そろそろだな。ルーを入れる｣

文醜｢すげぇ美味そうじゃねえかぁ！｣

淳于瓊｢そして、……あー、うん……｣

沮授｢？｣

淳于瓊｢………粉｣

袁紹｢何の粉それ！？！？｣






淳于瓊｢完成だぜ｣

袁譚｢カレーってこんな黒かったっけ！？｣

淳于瓊｢地獄の業火は全てを漆黒に染めるのさ｣

田豊｢食べ物の話ですよな？｣

袁紹｢まあ、香りはなかなか良さそうだ。どれ(ﾊﾟｸ)｣

袁譚｢あっ、食べた……｣





袁紹｢うっ……｣




袁煕｢…父上？｣

袁尚｢やっぱりヤバいんじゃ｣





袁紹｢うまいぞ！！！｣





逢紀｢お？｣

沮授｢美味しいんですね！？｣

淳于瓊｢当たり前だろうがよ！
　　　そもそもカレーなんざ、余程の事がなけりゃマズくなりようもねぇからな｣

田豊(『余程の事』がありそうだったから怖かったんじゃがの……)




文醜｢美味かったぁ！！｣

顔良｢地獄カレー、堪能させていただいた｣

沮授｢なんだかこのカレーを食べたら、すごくシャキッとしてきました！｣

淳于瓊｢おうよ、好評で何よりだ。
　　　それじゃ昼からの軍議、おっぱじめようぜ｣

袁紹｢そうだな。余も何か頭が冴えてきたぞ。ハハハ！！｣







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袁紹｢軍議の後半、やたらと体がダルくなってきたな…｣

沮授｢僕もです。最初は良かったんですけどね…｣

淳于瓊｢ああ、そりゃ『カネフォラ』のせいだろ｣

袁紹｢カネフォラ？｣

淳于瓊｢カレーの最後に隠し味を入れただろ？あれだよ。
　　　あの時は名前をド忘れしちまってたがな｣

沮授｢カネフォラって確か、コーヒー豆だったような…？｣

淳于瓊｢知ってんのか、ご名答だ。
　　　カフェイン量が半端ねぇんだ。好きだから、とりあえず何にでも入れて摂るようにしてる｣


袁紹｢……そういうのは早く言いなさい仲簡！！！｣

沮授｢今晩、眠れるかな……｣