５０

（茶番のみ、ゆるし亭ゆるして）

「あー、またこいつか」

やめて

「姉は強いんだけどな、こっちは使えないよ」

言わないで

「こんなの誰も使わないよwww」

「やめてっ！」

……夢だった、また、この夢
知らない人達が私を見るたびに、聞こえる、頭に嫌でも入ってくる

「……もうやだぁ……」

外を眺める、まだ日は登る気配はない

「……目、覚めちゃった」

喉が渇いた、水がほしい
私は部屋を出た

「……暗いなぁ」

灯りはつけない、理由はない、なんとなくつけない、それだけ

「あれ……？」

暗い道の先に灯りがついている。消し忘れ？
こういうのばれたら、魔王様がぼやくんだよね……消しとこう

「………あ」

「ん？お前何してんだ？」

魔王様が部屋に残ってた、何してんだろ？

「ふと目が覚めてなぁ、ぼーっとしてた、目覚めがよくなったのかな」

「おじいちゃんじゃん、こんな時間に起きるなんてさ」

「……で、お前はなんで起きたんだ？」

「隣、いい？」

魔王様は椅子をひいてぽんぽんと叩いた

「へぇ、災難な夢だな」

「ほんと、よく見るんだよこんな夢」

「……まぁ、俺には遠い夢だな」

魔王様はたまに悪意もなく私にダメージを与えてくる

「……魔王様、なんで私はここにいるんだろ」

「そりゃ、お前の父ちゃんと母ちゃんが」

「生命の神秘の話じゃなくて、なんで魔王様は私をこの軍に置いてくれてるの？」

あ、しまった

「はぁ？」

………こんなこと、言うんじゃなかった

「ご、ごめんなさい忘れて……」

「…………」

魔王様すごく難しそうな顔してる、そりゃそうだよね、面倒なこと聞いてるもん

「……仕方ないな」

「え？」

「忘れてと言われたから忘れる」

そしてすぐに

「だからそれとは関係なしに俺は独り言を呟く」

「……じゃあ、私はこれで」

「お前はそこの水を飲む義務がある」

「なら、飲み干すまでここにいていい？」

「俺は独り言を普通の声で話すだけだ、許可なんていらないだろ」

「ん……わかった」

私はコップにたくさんの水をいれた、少しずつ飲みたい気分なんだ、並々の水をちびちびと

「俺の友人が、お前の軍の王悦ってやつなんで入れてんだと聞いてきたことがあったな、そういや」

「………」

「そいつに言わせるなら、制圧も魅力も復活も、どれか一つなら武力６でいるだろって」

「確かにそうなんだよな、制圧２ならシャマカもいるし、魅力なら駄菓子、復活ならリカクシの片割れが持ってやがる」

「……」

まだまだ水は減らない

「ただな、俺の知ってるやつはそれ全部持ってんだよ、制圧２も魅力も復活も、なんならそいつは伏兵持ってて、呂布倒してくれてる」

「そいつは武力がないけど、そんなの気にしなくてもいい……って言いたかったんだがな」

「俺な、そいつのこと気に入ってるからでそいつは納得した」

「……」

「最初に会ったそいつはな、俺の顔見たときに怖じ気づいたのかまともに話もできなかった」

「大丈夫かよこいつって思ってたけど、今となっちゃ俺を煽るようになりやがった、最初に怯えてた面影なんてどこにあんだよって話だ」

「………」

「だからな、俺がそいつを選んだんじゃなくて、そいつが俺を選んでくれたんだ、暴虐の限りを尽くして恐れられた俺に、そいつはついてきてくれた」

「だから、俺はそいつを手放すわけにはいかねーんだよ、全力で守ってやらないといけないんだ」

「俺は、そいつのことを」

「…………！！」

ごくごくごくごく！

「水、飲み干したから、私寝るね！」

「…………おう、いい夢見ろよ」

魔王様のばか！
こんなの眠れるわけないじゃん！

次の日、目の下にできたクマのことを魏延さんと孟優さんにいじられた
魔王様はいつも通り笑っていた

みんなに受け入れられなくても、私のことを必要としてる人がいる

私の名前は王悦
魔王様と一緒に、これからも歩いていけたらいいな

あの、ほんとごめんなさい
５０回だったの、記念に真面目なの書きたかったの

ゆるして（必死）

更新日時：2017/12/14 21:49
（作成日時：2017/12/14 21:49）

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