排出システムと射幸性の話

排出カードのIC紐付けが仮に無くなったとしたらカードショップやオークションでの換金が可能になるわけで、目下の興味は「いわゆる三店方式のシステムが確立した場合、このゲームは5号営業の範疇に収まるのか？」という点。セガの法務が解説してくれるなら喜んで聞く。要するに、排出カードの換金システムが存在するとゲームセンターに筐体が置けなくなるのではないか、という疑問を持っているので、教えてエロい人。（注1）

射幸性についてはソシャゲのガチャのあれやこれやが話題になっており、なんとなく知っている人もいるかと思います。確率10倍アップという表記で課金を誘発する書き方をしながら、その実1/10000が1/1000になっただけで「ほぼ当たらない」状態は変わらず、パチやスロも真っ青の金額がじゃぶじゃぶ流れていた、ということで少し前に公正取引委員会案件となったり消費者庁が注意喚起を促す事態になっておりました。メーカー対応としては当初は法整備が追い付いていないうちに稼げるだけ稼いでおけ、という合理的かつ血も涙もないものでしたが、最近ようやく金の成る木を長持ちさせようと一定の金を突っ込んだら目当てのアイテムがもらえる天井機能を付ける流れになってきた、というトレンドであります。それでも現状は自主規制の域を出ず、このくらいなら大丈夫なんじゃないかという手探りの状態が続いております。

翻ってアーケードゲーム業界でありますが、こちらはすでに法整備がなされております。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、風営法・風適法と略される法律（注2）がそれで、営業時間や置ける筐体などが規定されております。射幸心をそそる恐れがある遊技をさせる営業、すなわちパチスロなんかのお店は4号営業、本来の用途以外の用途で射幸心をそそる恐れがある遊技をさせる営業、すなわちゲームセンターは5号営業と、おおまかには博打要素で営業の許可区分が異なります。トレーディングカードアーケードゲームは5号営業の範疇として稼動しておりますが、調べたところ排出カードが金銭に変えられる場合はかなりグレーゾーンなのではないかという懸念を持ち始めております。景品提供のガイドラインが日本アミューズメント協会から出ておりますが、自主規制案件に「金券類および類似品」があります（注3）。アイドルの握手会参加券が有価証券とみなされた判例がある通り、たとえゲームのカードであっても流通価格が付けば有価証券と言えます。風適法第二十三条第一号に有価証券を賞品として提供することは禁止と記載されておりますので、厳密に適用するとアウトなのですが、なにぶん解釈の余地がある書き方なので専門家の意見を伺いたいところ。

風適法を考慮すれば、排出カードのIC紐付けや縁システムの狙いが違って見えてきます。排出カードの現金化が難しくなり、射幸心をそそると言い難くすること。強カードを狙って排出できるようにすることで"市場価値"を下げること。200円のプレー料金で10,000円のカードを引いてやるぜ、ということを不可能にするのも狙いの一つなのかなあと考えています。ランペイジ劉備が10,000円とかいう時代もあったなあ、とか振り返っていたらまさに引いた人がいたりして、桃園世界は狭い。大切に使うぜっていうのが本来の用途だと思いますが、中には売っ払ってプレー代金の足しにした人もいるはずで、気になって調べてイマココという次第。ビジネスですので将器にガチャ要素を残してはいますが、将器の違いだけで1000円2000円出せるかと言えばNOですので、射幸性の議論には至らないと思います。

IC紐付けには賛否両論ありますが、こういう視点の意見は見かけなかったなあと思って書きました。見込み違いの可能性もありますし、良し悪しについて論じたいわけではなく、どうしてこういう形態にしたのかなあという推論の一環ということでご理解いただけると助かります。


注1: 風営法についてやさしく解説
http://cozylaw.com/fu-teki/kihon/010-01.html
注2: 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO122.html
注3: アミューズメント施設における景品提供営業のガイドライン
http://www.jamma.or.jp/reference/data/prize_guideline_h260327.pdf