前編では三国志大戦のゲーム仕様の変化を見てきましたが、今回は三国志大戦から派生したタイトル『戦国大戦』について振り返ってみます。
なるべく簡潔に分かりやすく書けるよう頑張ります≡3
①戦国大戦の誕生
三国志大戦3稼働から約半年後、セガは大戦の新タイトル『戦国大戦』を正式稼働させますが、この動きはプレイヤーに驚きをもって伝えられました。
前編で書いたように、アーケード業界は元々斜陽になっていたところにリーマンショックの打撃を受け、厳しい状況に置かれていたからです。
こうした場合は「選択と集中」で乗り切るのがセオリーですが、拡大路線を選択したあたりセガの体力と強気が現れていました。
②戦国大戦のチャレンジ
戦国大戦は、バージョンが変わるごとにルールがどんどん追加されていくゲームでした。
思うに、これはATCGのルールを拡大し続けながらどの程度までプレイヤーが受け入れてくれるかを試す「実験的シリーズ」だったように思います。
三国志大戦からの変更要素が多いので、特に特徴的なものだけ考察します。
・感圧式筐体採用により、兵種アクションは3次元に
三国志大戦ではカードの平面的動作で兵種アクションを起こしていましたが、戦国大戦は筐体を「タッチ(押す)」動作を加えることで、そのバリエーションを更に拡げました。
騎馬隊や鉄砲隊にタッチアクションが採用され、後に登場した竜騎馬・砲兵にも採用されました。
・「統率力」ステータスの採用
三国志大戦を始めた頃、カードを見て
「あ、この『武力』が攻撃力で、『知力』が防御力かな💡」
と思った人多いのではないでしょうか。
そしてプレイしていくうちに
「武力が防御力も兼ねてるなら、知力より武力のが大事じゃん」
となったと思います。
知力も必要なステータスではあるものの、三国志大戦での価値は「武力>知力」でした。
戦国大戦は、知力を「統率力」というステータスにし、更に新しいシステムを加えました。
武将同士が乱戦する時、より統率力が高い武将は低い武将を弾くことができるようになり、またその統率力差が高いほど弾き頻度が高くなるような仕様になりました。
その結果、武力で勝っても統率力が低ければライン維持ができなくなり、戦場全体におけるカードステータスのアンバランスが修正されました。
また部隊が離れることは兵種アクションができる空間的余裕ができることに繋がり、プレイヤーのアクティブなプレイスタイルを促すという一面も持っていました。
・戦闘を積極的にさせる為の工夫
三国志大戦1-3は、深い城内エリア・回復しにくく一瞬で減る兵力・撤退から復活した際の兵力は7割ほど・全般的に範囲が広い妨害&ダメージ計略…などの要因から基本的に攻めることは守ることの何倍も難しいゲーム仕様でした。
そのため後期になると、マッチングによっては試合時間の6割程度お互い戦場から部隊を出さない状態が続くなどし、
「積極的に戦闘することで有利になるシステム作り」が求められました。
戦国はその為の施策として、城内回復速度上昇・戦場に大砲(一定時間大砲を制圧し続けると敵にダメージ)を設置・乱戦速度低下・高武力武将が低武力武将を倒す速度の低下・統率力差による弾きの発生などのシステムを採用し、積極的に戦闘させるプレイスタイルをプレイヤーに促しました。
・どんどん変わる仕様、どんどん増える兵種・特技・ゲージ・勢力
正直これは書ききれません、それくらい変更が多いんです(^^;)))
「突撃準備オーラ?なしなし、つえーもん。」
「砲台増やしちゃうよ!」
「特技もマシマシで!」
「兵種もマシマs(以下略」
ということが毎度のようにバージョンアップで起こります。
最終的な兵種は8、勢力(家)は16、特技は21にも及び、また各勢力は三国志大戦6における晋軍の覚醒ゲージのように独自のゲージや特殊能力を持った武将や計略を有していました。
こうしたバラエティに富んだ特技や計略の中には、後の三国志大戦に流用されたものも多くあります。
③戦国大戦の成功点
・「大戦」のシリーズ化成功
三国志大戦はゲームの魅力も去ることながら元ネタの三国志が日本人にとってかなりメジャーなコンテンツであり、「三国志が好きで、好きな武将で戦いたいから大戦を始めた」という方はかなり多いと思います。
よって三国志そのものでなくゲームシステムがプレイヤーにどの程度支持されているかを知るには、元ネタを変えるのが一番です。
戦国武将も強力なコンテンツであり「三国志も戦国もどっちも好き!」という人も多いですが、恐らくそれ以上の割合のプレイヤーが三国志大戦と戦国大戦の両方をプレイしていたのでしょう。
この結果、プレイヤーにゲームシステムが支持されていること、そして「コンテンツ変えてもシステム同じなら行ける、シリーズ化できる!」という自信が得られたと思われます。
・実験的に仕様を変えることで得られたプレイヤーの反応と膨大なデータ
ゲームを作ったことのない私の勝手な妄想ですが、戦国大戦のシステムの大胆な変更によって得られたプレイヤーの反応や傾向の変化は、制作側が意図した通りにゲーム環境を変更したりプレイヤー達を任意のプレイスタイルに誘導したりするのに必要な情報をもたらしたことでしょう。
④戦国大戦の失敗点
・稼働初期のマーケティング失敗
ハッキリ言えば料金設定を失敗しました、通常プレイが300円→200円→200円という超強気設定。
世はまだリーマンショックを引きずりアーケードは斜陽、更に平行稼働している三国志大戦はお店によってはカード排出無しでクレサを始めるところもあった時期です。
結果、新タイトルに流すはずの顧客を自社の前身ゲームに押し戻してしまったのです。
前述した「どんどん変わる仕様」の性質上一度ゲームの流れに置いていかれたプレイヤーを後から取り込むことは難しく、このゲーム全体のプレイヤー人口を狭めてしまうことになりました。
・高額、巨大で複雑な構造の筐体が与える店舗への負担
突然ですが皆さん、ちょっと目を閉じて自分のホームのゲーセンを脳内で一周回ってみて下さい。
三国志大戦有りますね、センモニも側に有ります。
じゃあ他のゲーム見てください、三国志大戦の筐体より場所とるゲームどのくらい有ります?
…そう、このゲームシリーズの筐体デカイんです。
価格の話しても仕方ないのですが、値段もかなりします。
そして戦国はタッチアクションを採用していたため、メンテナンスも更に大変でした。
更に更に、戦国置く店舗は大体セガの系列、もう三国志大戦が鎮座されとるわけでして…。
高額・場所とる・電気代喰う・修理大変というリスクを含んだ戦国は、三国志ほど設置店舗を増やせませんでした。
この失敗は「筐体を手頃にしないと生き残れない」という教訓となって制作側に残りました。
この教訓は、英傑大戦のWCCF筐体再使用という方策に繋がっていると思います。
⑤まとめ
戦国大戦は失敗もありましたが人気も高く、サービス終了発表の時はかなり惜しまれた作品です。
たくさんの実験から得られたデータや高いカードの質は、新タイトル『英傑大戦』に色濃く影響を及ぼしています。
長々と振り返ってまいりましたが、次回の後編で『英傑大戦』のゲームの特徴をこれまでのシリーズの流れを踏まえながら考えてみようと思います!
個人的な妄想の塊ですが楽しんでいただけたら幸いです☆
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ではまた(  ̄ー ̄)ノ
戦国大戦の出現と三国志大戦の撤退で、この大戦界隈から長いこといなくなった自分には、とても有意義な情報でした。
そういう意味では英傑大戦は、必然といえば必然の流れなんですねー
>みいけんさん
私は戦国武将にあんまり興味無かったのと料金のせいで取っつきが悪かったパターンです。最初はやってましたがルール変更についていけずにフェードアウトしましたね((T_T))
三国志大戦4-6も英傑もかなり戦国の影響を受けてるので、そこら辺は少し詳しめに書かせてもらいましたm(_ _)m
自分が戦国大戦やらなかった理由の一つが武将、勢力、レアリティの数。三国志の倍!
三国志大戦でも経験したプレイ料金+手に入らない武将カードの外部購入という出費を考えた結果…。
これはコレクターとしては破産するなと考えて未プレイで終わりました。
武将のイラストとか魅力的ではあったんですよね。特に漫画家枠とか。
でもお金に泣きたくはないなと思いました。
そういう意味では現在の三国志大戦は、過去よりだいぶお金を使っていなかったりしますな。
その代わりグッズにお金を使っていたりするからトントンかもです(笑)
>楊狐さん
自社の古株タイトルがライバルって構図としては最悪だったと思います。
不正確な情報ですが収益的には三国志のが高くて、親が息子を介護してる状態だったとか…。
当時の大戦は学生プレイヤーも多かったので、カードなしの安価な設定とかが開始時から出来てたらやってたかも知れなかったですね。