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統一戦の研究

by
梨音
梨音
長くなりますのでざっくり内容が知りたい方は「4.結論」のみお読みください。
結論に至るまでに扱う内容は以下の通りです。


・龍玉の入手手段・個数は適切か
・0勝の方をランキングに載せない処置は適切か
・そもそも電影武将のような形でゲームをプレイしないと得られないカードを用意するのは適切か


1. 龍玉の入手手段とその個数について
概説:
 基本的には三国志大戦3以前の局地戦と戦国大戦のスタンプ帳を合わせた形になっています。「玉璽の欠片」が局地戦のランキングに対応し、「龍玉」がスタンプ帳の達成報酬となっています。
 戦国大戦のスタンプ帳は「1日1プレイすると◯個」「1日に◯戦で◯個」「通算◯戦毎に◯個」という埋め方で、スタンプ帳を埋め終えると2枚目以降に突入という形になっていました。勿論戦国大戦も初期には様々な試行錯誤があり、また終盤においてもスタンプ帳の仕様はその度まちまちだったと記憶しておりますが、それでもその経験値を元に、事実上の後継作である三国志大戦でもある程度の完成度は期待されるところでしょう。

問題点:
① スタンプ帳の数に限りがある
② カードの入手に必要な龍玉が多い
③ ②の制限の中で龍玉を最大限集めてもランキング報酬無しにはカード1枚の入手にすら届かない

詳細:
①について
 統一戦開催の度にカードを追加するのではなく、一度のカード追加で何度かの統一戦を楽しんでもらうために、カードのコンプリートに制限を掛けているものと思われます。
 このようなイベントにおいては、カードの報酬があろうが無かろうが称号目当てに朝から晩までプレイする方が当然いらっしゃるでしょうし、また戦国大戦時代から「追加初日にカードを入手することに喜びを感じる人」が一定数存在しているのも事実です。そういった方々からカード報酬を得る可能性を一律に奪ってしまう施策は、個人的にはあまり好ましくないと考えています。
 解決策としては、

a カード追加が間に合わないなら、別に4枚一度に並べる必要もないし、例としては今回なら姜維だけ追加すればいい

b そもそも一度にカードを全部コンプリートするようなプレイヤーは報酬があろうと無かろうと統一戦の度にプレイしてくれるのだから、そもそも制限する必要がない

 といったことが挙げられるかと思いますが、このうちaについては

a' 姜維(或いは曹節、歩夫人、閻行)だけ追加すると、そのカードを欲しがらない人は統一戦をプレイしてくれない

 という問題も考えられますので、基本的にはbのみを私個人の意見とさせてください。bの補強要因として、

b" 一度の追加で長く楽しむという点については、交換レートの調整によってある程度実現できるし、現状でできている

 ことを挙げておきます。


② カードの入手に必要な龍玉が多い
概説・問題点:
1枚のカードの交換に200個必要。スタンプ帳を埋めた場合に得られる龍玉は124個で、埋めるためには全試合敗北すると20戦必要。

解決策:
①に書いた通り、この交換レート自体は目的を達するのに相応と捉えています。強いて改善すべき点を挙げるとするなら、

a 大戦3末期のようにシステムボイスが付いてくるならともかく、単なる兵士カラーや旗のパーツは誰もが欲しがるものではないし、カードの前にそれを強制的に取らせる仕様の是非は検討すべき

 あまり公式サイトの記載からは順番に取得しなければならない旨が読み取れなかったので、そういった点も残念ではあります。カードの前の余計なステップが無ければ、スタンプ帳の報酬のみでちょうどカードが1枚(龍玉120)取得できたはずなので、不満も生まれにくかったのではないでしょうか。


③龍玉を最大限集めてもランキング報酬無しにはカード1枚の入手にすら届かない
 称号は称号、カードはカードで完全に分けるべきだったというのが個人的な考えです。オマケ程度の龍玉ならともかく、今回のレートだとランキングに載るか否かがカードの入手を決するわけで、質の悪いソーシャルゲームのような事態は好ましくないかと思います。


2. 0勝の方がランキングに載らない点

概説:
 当然ランキング報酬も貰えません。

問題点:
 普通に考えたらこんな初心者を殺すような真似をしたいわけはないんですが、このような「一定回数プレイする」という行動が求められるケースでは、
「捨てゲー対策が必ず求められる」
 のはやむを得ないところです。大会における1つの最適解は、武将を登録だけして試合中一切動かさないことです。そうすれば時間的には最短でカードを取得できます。
 1勝して残り捨てゲーならいいのか、という問題は残りますが、必ずしも1勝でランキングに載るとは限りませんし、少なくとも1試合もカードを動かさないプレイヤーをランキングに載せる可能性を排除したいという意図は正当と思います。
 通常の全国対戦における捨てゲーは、相手側としても苦もなく勝利を得られランクの上昇に直結して利益を得られます。しかしこのような特殊大会においては、普段のランクには一切関係無い以上、試合そのものを楽しもうという志向がより強くなります。そこでの捨てゲーは、相手としてはほぼお金と時間の無駄に等しいでしょう。

解決策:
 問題はランキングに載らないことではなく、ランキングに載らないと十分な量の龍玉が得られないことです。ランキング報酬の龍玉がオマケ程度の量になればそれで済む問題と考えます。「勝たなければランキングに載らない」それ自体は仕方のないことです。


3. このような種類のカード追加は好ましいものか

概説:
「一定の時期に一定数ゲームをプレイしないと入手できないカード」は果たしてカードゲームにおいて存在するべきなのでしょうか。

問題点:
① 取得のために一定期間内におけるプレイを強要される
② プレイヤーとしてはどんなカードでも「いずれ強くなるかもしれない」以上は取らざるをえない
③ そのカードを使いたくても、その入手までに手間がかかる
④ そのカードを入手できなかった場合、その後のゲームプレイのモチベーションが下がる

解決策:
 ②と④は「龍玉交換が恒常的に可能」という現在の仕様によってある程度克服されているかと思います。電影宴武将からの明確な改善点として評価されて然るべきです。強いて改善点を挙げるとすれば、

d 統一戦(ないしその他の龍玉入手手段)を定期的に実施し、そのスケジュールを明確化する

 あたりでしょうか。極端な話を言えば、毎週末に局地戦があり、その度にカードが1枚取得できるなら、持っていないカードが強くなっても「週末取るか」で済むわけです。ここは明らかに宴武将より進化しています(何度でも褒める)。
 というわけで、残る問題は①と③になります。(ここからが非常に長いので、お急ぎの方は結論まで飛ばしてください)
 まず①についてですが、これは売って終わりの家庭用ゲームとは異なり、アーケードゲームやネットゲーム、ソーシャルゲームにおいては「いかにプレイヤーにゲームに時間を割かせるか」が重要な課題になります。こう言ってはなんですが、戦国大戦のスタンプだって古戦場やフェンリル討滅戦よりよっぽど優しかったわけです。ただそこでやはり考えなければならないのは、他のゲームとプレイヤーの時間を奪い合う中で、果たして本当に「ゲームセンターに行かなければならない」という圧力をプレイヤーに与えるべきなのかどうかです。これは別に反語ではなく、与えるべきということも考えられます。
 客がゲームセンターの入口に今います、という状況を想定するのであれば、「大戦は今こんなイベントやってますよ、やりましょうよ」という誘いを掛けるのはまず間違っていないと思います。
 しかし、休日に家にいる人に「これから着替えて駅まで歩いて電車に乗って駅から歩いてゲームセンターに行って両替して三国志大戦を20戦してカードを取りましょうよ、多分3000円くらいで済みますよ」と誘ったところで、「グラブルから逃げるな」に勝てるのかという根本的な疑問があります。本当に三国志大戦は時間使わせ競争で勝ち目があるのか?
 これは③とも関連しますが、今のゲームセンターが対抗すべきなのは、映画館や美術館、動物園や漫画喫茶といったような、「行こうと思ったときに行く趣味の場」であるべきではないでしょうか。ゲームセンターは街からどんどん姿を消していき、都心でも一部の繁華街まで行かなければ見当たりません。そこそこの街なら駅前に1個ある、という時代ではないのです。少なくとも週末におけるゲームセンターは、映画に行くのと同じレベルのイベントです※。
 そういう「行きたいときに行く」スポットにおいて、「そのために定期的にイベントに参加してカードを確保しておかないといけない」というのはマイナスにしか働きません。「前売りなら100円なのに当日チケットを買うと2500円の映画や美術館」に、果たして当日思いついて行きたくなるでしょうか? 休日の過ごし方にいろいろ選択肢がある中で、ゲームセンターとしては直前まで客を勧誘し続けないといけないところでしょう。「ふらっと来ても楽しめますよ」というのは大事なポイントです。使いたいカードはすぐに使えるべきだし、その前に余計なステップを要求すべきではない。
 一方でそうではない、平日の夕方以降の学生やサラリーマンを想定する場合には、彼らは既に家の外にいますし、定期券を持っているので大きな街のゲームセンターにも行きやすい。ここではゲームという観点がより前面に出て、明確に家庭用ネットソーシャルといった他のゲームと競合します。時間の奪い合いになります。
 つまりゲームセンターは、平日と休日で戦う相手が違うのです。あくまで私の個人的な考えなので、「んなことないよ」と言われたら「かもね」と答えて逃げるしかないんですけど……
 長くなりましたが、以上のことを前提とした解決策としては、

e 平日の競合を主眼に置くのであればこのような形のカード獲得イベントはより推進すべきだが、そうであるならイベント開催期間を金土日にするのは明らかに間違っている。月曜から日曜まで開催した上で、できれば毎日少しずつでもプレイすることにインセンティブを与えるべきである。

f 週末の競合を主眼に置くのであれば、カードは欲しくなった時にいつでも即座に手に入ることが好ましい。その役割をカードショップに求めないのであれば、ターミナル等で直接金銭でカードを購入できるようにすべきである。

 fであれば「スターターに英傑号令を入れる」というような初心者向けの施策は素晴らしくマッチしていますし、今後はセンターモニターでのブースターパックの販売等も検討していいでしょう。しかしそれらは当然将器や縁といった4の新システムとは矛盾することになります。週末だけのカジュアルな趣味にそういったやりこみ前提の要素は邪魔です。個人的にはカード排出一切無しでターミナルでカードを購入する形でもいいと思っています。
 しかしながら現実問題として筐体には印刷機を備えてしまいましたし、こうやってさんざん宴武将システムが叩かれたにも関わらずそれでもカード獲得イベントに拘ったのであれば、もう三国志大戦4というゲームは上記eで突っ込むしかないでしょう。それが果たして上手くいくかはわかりませんが、それはきちんとセガが事前にマーケティングをした上でゲームをリリースしていることと思いますので、信じて待つより他に無いと思います。週末向けの施設になってそれで十分な利益が得られるとも限りませんし。
 しかし平日にお金を落とす忠誠心の高い層は、そんなにプレッシャー掛けなくてもちゃんとお金を落としてくれるだろうというのが個人的な感想。カジュアルにすることがそういう層をゲームセンターから引き離すかというとそんなことはない……というか、それによって引き離されてしまうような層はもう既に引き離されていると思うのですが。

4. 結論
・スタンプ帳は無限にあった方がいい
・兵士カラーや旗を取らなくて済むならレートは現状のままでいい
・ランキング報酬の龍玉を減らせば0勝の君主はランキングに載せなくてもいい
・週末だけでスタンプ帳2枚を埋められるバランス自体は好ましいが、開催期間そのものは月曜日から日曜日まで1週間用意すべき

5. 終わりに
「局地戦の面白さ」とか「インセンティブとしてのカード獲得の是非」とかも書こうと思ったんですけど既に長いのでやめました。あと魏ミラー嫌いなので今回の統一戦はやってません。エアプですエアプ。間違った情報があったら申し訳。

※適当にサンプルを探したところ、東京23区における三国志大戦設置店舗を周辺に持つ駅数が20強、同じく23区におけるパイレーツオブカリビアン上映映画館数も20強です。店舗数同士で比較しない理由はゲームセンターが1箇所に集中する傾向があるためで、映画館では近隣で同じ映画を上映するケースが少ないため上映店舗数と駅数が概ね一致します。映画は適当に一番知名度が高そうなのをピックしただけです。まだ見てません。
更新日時:2017/07/26 16:32
(作成日時:2017/07/26 16:31)
コメント( 2 )
しえろ
しえろ
2017年7月26日 16時54分

プロデューサーの意向か知らないけど、とにかく前と同じな事を嫌いすぎて不満を爆発させくってて凄いなと思いました(小並)

kiri44477
kiri44477
2017年7月28日 6時39分

もう開き直って龍玉1個100円とかで販売しちゃえばいいのに。いや値段は適当だけど

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