本日もミニ色紙を元にした小話と、そちらに登場する武将たちの裏話を公開いたします!
第二十回となる今回、ご紹介する色紙はこちら!
【孫呉酒宴~傍観者・呂蒙~】
「さあ飲め、周泰。今宵は無礼講だ!」
「大将手ずからの盃とありゃ、一気に飲み干すしかねえな!」
なみなみと注がれた酒盃を渡しているのが、孫呉の主・孫権様だ。
貧しい家の出である俺や、川賊だった周泰にも分け隔てなく接し
名族から荒くれまで、多くの人材を束ねておられる。
まさに孫呉という国に相応しい帝王と呼べるだろう。
「いい飲みっぷりだ! さて、俺も浴びるほど飲ませてもらおう!」
……あの酒乱ぶりは、愛すべき欠点かもしれないが。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
この色紙に登場する武将たちは、こちらです!
まずは一人目、孫権!
◆武将紹介
孫権は孫堅の二男で、孫策の弟です。
父と兄が相次いで急死したため、十九歳の若さで家督を継ぐと、遺臣をよくまとめつつ積極的に人材登用を行い、江東を基盤として国内を安定させました。
さらに巧みな外交手腕で曹操や劉備らと渡り合い、赤壁の戦いに勝利して江南支配を確立。
荊州をも攻略して版図を拡大していき、呉の初代皇帝となりました。
ただし酒乱や激情家といった一面があり、酒席での失態も多かったといいます。
◆裏話
ちょっと真面目な話から入りますね。
三国志ファンの間では孫権という人物は、とても評価が割れやすい人物で、
関羽の背後を突いたことや十年に及ぶ後継者争いを招いたこと、何度か臣下と
くだらない諍いを起こしたことから、
特に後年の孫権に対しては良くないイメージを抱いている方が多い印象があります。
ですが、孫権が孫家の主になってからの五十年間で挙げてきた功績は、失敗をはるかに上回るものです。
「なんとか壮年の孫権をカッコ良く見せたい……!」と考えていた担当者にとって、
アーケード版のイラストで、
堂々とした佇まいでどこか無邪気にも見える笑みを浮かべている孫権は、描きたかった孫権の姿そのものなのです。
第三弾の孫権のコンセプトは
「呉の皇帝としての貫録を身に着けた、堂々とした孫権。」というものでした。
「がっしりした体躯で勇ましさを感じさせる」といった指定もあり、皇帝となった後も呉を守るために戦う人物として設計しています。
外見年齢は30代後半という指定で、夷陵の戦いで劉備を破った頃をイメージしています。
なおアーケード版のイラストでは、後でご紹介する呂蒙と周泰が孫権の左右に配置されています。
これは開発からの指定ではなく、西野幸治さんがオリジナルで盛り込んでくださった要素です。開発メンバーも一ファンとして歓喜しました。
蒼略ボイス
「聞かせてやろう……王たる虎の号令を!」は
第一弾の孫堅(天啓の幻)の特殊計略ボイス
「息子よ、聞け! 王たる虎の号令を!」を意識したものです。
ですが撤退ボイス
「まだ、超えられないのか……」の相手は、ぽけっと版のカード裏セリフにあるように、曹操や劉備をイメージしています。
王となり、皇帝となった孫権にとって、超えるべき対象はすでに父や兄ではなく、
同じく一国の主であり、天下を賭けて争う相手である曹操や劉備なのです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
続いて二人目、呂蒙!
◆武将紹介
呂蒙は孫策、孫権に仕えた武将です。
若い頃は武勇一辺倒な側面がありましたが、孫権に教養の重要性を諭されると、勉学に励み、やがて知勇兼備の将に成長します。
ある時、魯粛が様々な問いを投げかけると、呂蒙は豊富な学識で淀みなく答え、さらに関羽打倒の上策を披露してみせたため、
「呉下の阿蒙に非ず(=呉で会った頃の、武勇だけの蒙ちゃんではないね)」と評されました。
その後は孫権軍の中核として度々指揮を執り、樊城および荊州争奪戦では戦略を巡らせ、関羽を討ち取る戦果を挙げました。
◆裏話
第四弾の呂蒙は、旧作では軍師カードで「遠弓撃陣」という奥義の持ち主でした。
担当者の脳内に
「間断なき矢の雨を降らせよ!」というボイスと、降り注ぐ矢の絵面が焼き付いていたため
シチュエーションは脳内イメージのまま
「弓兵を指揮し、矢の雨を降らせているシーン。」として発注しました。
衣装は旧作から大きくアレンジされて、前線で戦う武将らしい鎧姿になっていますね。
旧作では軍師カードだったためか、クールな表情だった呂蒙ですが、
今作では
「努力家。根が武人なため、熱くなりやすい一面も」という性格設定にしています。
そのためか今作の表情のほうが、熱さや迫力が増しているように感じられますね。
ちなみに計略名の「百錬成鋼」は「幾度も鍛錬することで立派な人物になること」という意味の四字熟語です。
セリフでは旧作ネタを色々と盛り込んでいます。
寵臣セリフの
「似合わんが……軍師としてお仕えしよう」は、かつて軍師カードだったことから。
第四弾-2周泰を範囲に入れた時の計略ボイスは、例のセリフを意識して
「その神弓で、間断なき矢の雨を降らせよ!」としています。
伏兵ボイスの
「さあ、決着の時だ」も、旧作の奥義使用時のセリフから持ってきたものですね。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最後に三人目、周泰!
◆武将紹介
周泰は孫策、孫権に仕えた武将です。
『演義』では元々川賊でしたが、孫策の挙兵を聞きつけると、仲間の蒋欽と共に帰順しました。
宣城で孫権が反乱兵に急襲された際、兵士に檄を飛ばして奮起させ、全身に十二ヶ所の傷を負いながらも、身を挺して孫権を守りました。
その後も諸戦で活躍し、合肥では魏軍に包囲された孫権を救出、夷陵においては異民族の王・沙摩柯を一騎討ちの末に撃破しました。
孫権の信頼は厚く、賊上がりながら昇進を重ね、長きにわたって孫呉を支えました。
◆裏話
第四弾-2で追加された西野幸治さんの周泰は、旧作のVer.3.59以来の登場となりました。
先ほどご紹介した呂蒙に比べるとアレンジは控えめですが、
旧作の衣装に比べてフードや手甲などの防御力が増しており、守りへの意識がより強く感じられます。
一方で眼力は静かながらも力強く、翼を広げた鷹と共に、眼力だけで敵を震え上がらせる勢いです。
シチュエーションの指定は、宣城で周泰が活躍したシーンを元に、
「全身に傷を負いながら、武器を構えて敵を威圧している。命を賭して若き孫権を守っているシーン。」としました。
周泰の後ろで騎乗している人物が、若き日の孫権ですね。
この戦いで周泰が守り抜いた孫権が、成長して第三弾の姿になったのだと考えると……エモいですね。べらぼうに。
中村悠一さんの熱演により、かけ声の
「ずおおおりゃああ!」が迫力満点な周泰。
計略ボイスも
「近づく奴は、片っ端からぶっ倒す!!」「貴様らぁ! 一人も生かして返すなよ!!」と猛々しく、
敵からは(どうしたらええねん……)という泣き言が聞こえてきそうですね。
実は第四弾の呂蒙を範囲に入れた時用に
「大都督! 弓の極意を教えてやる!」というセリフを収録したのですが、
残念ながら計略・兵種の都合上、お披露目する機会を失ってしまいました。無念。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
長くなりましたが、今回はここまで! また次回、お会いいたしましょう!
孫権
「ちまたでは「オンライン飲み会」とやらが流行っているそうだな」
周泰
「へぇ、離れた場所にいながら酒宴を楽しめるのか。俺たちもやってみるか?」
呂蒙
「俺は賛同しかねるな。殿の酒量を抑える者がいなくなってしまう」
孫権
「むっ……! いや、さすがの俺も自制……して……」
周泰
「自分でも言いよどんでるじゃねぇか。無理なことは言うもんじゃねぇぞ、大将」
呂蒙
「皆も心労の絶えぬ日々を過ごしているだろうが、酒はたしなむ程度にしておくのだぞ」
俺の孫権に対するイメージはまさに「奸臣の讒言を真に受けて国を混乱させたアル中の愚帝」です。
ですが、この孫権は「赤髪」「四角い顔」という特徴を押さえつつ見事な貫禄。
呂蒙、周泰も含めて凄く格好いいです。
色んなエピソードを独自解釈して格好いいアレンジする三国志大戦のデザイン好きです。
これからも魅力的なカードの登場待ってます。