本日もミニ色紙を元にした小話と、そちらに登場する武将たちの裏話を公開いたします!
第十四回となる今回、ご紹介する色紙はこちら!
【Ladies Tea Party】
「さすが、頭でっかちな才女サマは言うことが違うわね!」
「……あなたこそ、その装飾品と同じく野蛮な物言いね」
茶会の途中、ふとしたことから郭槐と黄月英は言い争ってしまう。
その様子をまるで母のように、にこやかに王美人は眺めていた。
彼女の目には、二人の言い争いは姉妹喧嘩のように映っていたのだ。
だけど――と呟いて、王美人は頬に手を当てる。
彼女の視線の先には、すっかり冷えてしまったお茶。
(あんまりケンカが長引くようなら、雷を落としたほうが良いかしら?)
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この色紙に登場する武将たちは、こちらです!
まずは一人目、王美人!
◆武将紹介
王美人は霊帝の側室で、後の献帝・劉協の母です。王栄とも呼ばれます。
容貌は美しく、また書道や算術を得意とする聡明な女性でした。
後宮には下級女官として入りましたが、霊帝の寵愛を受け、劉協を生みました。
しかし正室の何皇后から激しい嫉妬を受け、毒を盛られて殺されました。
劉協は幼くして母を失ったものの、孝行心を忘れず、即位後に諡号を追贈しています。
◆裏話
王美人は「献帝の母」という点をクローズアップして、
豊満な体形ながら、上品で清楚な風格を持つ女性としてイメージを作成しました。
また、庶民の出で野望を抱く何皇后との対比のために、
心優しく育ちの良いお嬢様という設定にしています。
アーケード版のイラストでも性格を表すように、祈りを捧げる聖母のようなポーズを取っていますね。
計略セリフは
「あんまりひどいと……怒りますよ?」ですが、口調的に怒れてなさそうですよね。
実は、計略次第では献帝へのメッセージを託せるようにと
「夢を捨てないでね」というセリフも収録しました。
残念ながらこのセリフはゲーム内で使用されていませんが、
第二弾の献帝のカード裏に
「夢物語では終わらせない」というセリフがありますから、きっと王美人の願いは届いたのでしょう。
ちなみに
漢の皇族には「翡翠」を一族モチーフとして盛り込んでいます。
古くから金以上に珍重されていた翡翠は、「玉」という別名を持ちます。
皇帝の証である玉璽に近い別名を持ち、高貴な身分に合うモチーフということで採用されました。
王美人には「翡翠の額飾り」を指定しましたが、額以外にもところどころに散りばめて頂いていますね。
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続いて二人目、郭槐!
◆武将紹介
郭槐は賈充の妻で、賈南風と賈午の母です。郭淮の姪にあたります。
非常に嫉妬深い性格で、彼女の子を乳母があやしているのを見て夫の浮気を疑い、乳母を殺害しました。
後に賈充が先妻・李婉との復縁を司馬炎に命じられると、賈充の胸ぐらを掴んで反対しました。
さらに李婉を排除しようと邸宅に押しかけますが、出迎えた李婉の才気に圧倒され、思わず膝をついたといいます。
子が懐いた乳母を次々と殺したため、嫡男がおらず、実権は娘の賈南風が継ぎました。
◆裏話
コンセプトは
「夫との浮気を疑って乳母を殺した逸話のある、とんでもなく嫉妬深い悪女。」です。(原文ママ)
同じく悪女であり、旧作でも人気だった賈南風の母ということもあり、
「暗めの濃いアイシャドー」「人目を引くセクシーな衣装」「不用意に近づけば食べられてしまいそうな雰囲気」と
濃い目のキャラクターにふさわしいイラストになるようイメージを作成しました。
アーケード版のイラストは
「妖しく笑っているイメージ」という発注でしたが
背景は燃える室内になっています。一体どこで何が行われているのか……。
ぽけっと版のイラストは
「『あたしだけを見て』と詰め寄っているイメージ」です。
嫉妬深いということは愛情の裏返しなので、賈充の前にいる時は、あんな表情や仕草をするのかもしれませんね。
かなり癖のあるキャラクターなので、セリフにも一癖入れたいという狙いで
攻城
「どこに逃げても無駄よ、無駄!」計略
「厄介な虫は排除よ、排除」など、二度繰り返すセリフ回しを頻用しています。
撤退の
「こんの、お邪魔虫ぃ……!」と言い、花守ゆみりさんの熱演によって
ボイス面でも皆さんの印象に残る良いキャラクターに仕上がったのではないでしょうか。
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そして三人目、黄月英!
◆武将紹介
黄月英は諸葛亮の妻です。
諸葛亮と交流のあった荊州の名士を父に持ち、天文や易学、地理、兵法にも通じた抜群の才女でした。
父の勧めにより諸葛亮に嫁ぎますが、不器量であったため、人々は孔明の嫁取りを真似るなと笑い合ったといいます。
ただしこれには諸説があり、あえて顔に黒墨を塗って不美人を装った、あるいは西域出身のために赤毛で色黒だったとも伝えられます。
木偶人形や木牛流馬の発明、また優れた献策により、戦場でも大いに夫を支えました。
◆裏話
黄月英は史実に沿って
「赤毛で褐色肌の、知的な印象の研究者的なインド系美人。」というコンセプトを立てました。
研究者らしさのある白衣っぽいロングコートにミニ丈のチャイナ服と、
褐色肌を美しく見せる衣装の指定も盛り込んでいます。
それにしても、今日ご紹介している女性は全員グラマラスなような……たぶんおそらくきっと偶然でしょう。
アーケード版のイラストでは木偶人形に指示を出して闘わせている黄月英ですが
カード裏や一騎討ち大勝利時のセリフでは、自分が作った木偶人形を「デクちゃん」と呼んでいます。
実は計略セリフも
「行きなさい、わたしの木偶人形(デクちゃん)!」で収録していました。
もしかして「黄式加速装置」の正体は、フルパワーで攻城兵器を運ぶ木偶人形なのでしょうか……?
小話では郭槐に対して不愛想な態度を取っていますが、
性格は
「無愛想だが、人見知りなだけで根は優しい」と、いわゆる『コミュ障』で
「研究に没頭すると、周囲が見えなくなる」といった発明オタクな設定をしています。
そこから派生して
「仲良くなったり興味のある話題だったりすると、たくさんお喋りする」という設定を付け加えました。
彼女が心を開くとどんな態度を取るかは、初心の章「攻城兵の心得」でも見ることができますよ!
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長くなりましたが、今回はここまで! また次回、お会いいたしましょう!
黄月英
「できたわ! 黄式・全自動マスク製造機よ!」
郭槐
「何このガラクタ……すぐに壊れそうなんだけど。えいっ!」
黄月英
「ああっ! せっかくの自信作だったのに……よくもマスクくん(仮)を~!」
郭槐
「な、何よ! アナタさっきまでと性格変わってない!?」
王美人
「あらあら、また始まってしまったわ。
皆さん、お出かけする時はマスクをして、帰ってきたら手洗いうがいをしましょうね。約束ですよ?」