今回は、これまでの倍の内容となります。
予めご了承ください。
時は208年9月。
劉表死去後、家督を継いだ劉琮は、早々と曹操に降伏した。
この時、劉備は樊城に駐屯していた。
残念ながら、劉琮の降伏どころか曹操軍が侵攻している情報は、曹操が宛に迫った頃だった。
情報を得た劉備は、劉琮に怒りをあらわにしたが、とても抗戦出来ないとして撤退を開始する。
目指すは、荊州・襄陽に次ぐ中心地、江陵。
撤退している道中、劉琮の側近や荊州の民衆の多くが劉備の跡についた。
当陽に到着した時は、その数10万人余り。
民衆を連れての行軍は、当然ながらはかどらず、1日当たり僅か10里程。
それを受け、速やかに行軍して江陵を征圧すべきと進言する者がいたが、劉備は
「大事を成し遂げるには人を基本としなければならない。今、人々が私に身を寄せてくれているのだから見捨てる訳にはいかない」
と一蹴する。
そうこうしている内に、曹操軍精鋭の軽騎兵五千が一昼夜で三百里余りの速さで駆け抜け、遂に劉備軍を長坂坡で追いつく。
ここで、趙雲と張飛が正史にも残る武勇を魅せる。
それがこちらの動画になります。
まずは、曹操が追撃を決定したシーンです。前半が日本語版、後半が中国語版です。
続いて、趙雲中心の動画です。

続いて張飛の大喝の動画。
お時間のある方は、最初から視聴して良いですね。
このあと、曹操軍は、劉備の当初の目的地だった江陵を一足早く制圧。
一方、劉備は、長江支流の漢江沿いの漢津(かんしん)で別動隊として離れた関羽率いる船団と合流。
更に、劉表の長子・劉琦の軍勢も加わって、赤壁近くの江夏へ到着するのであった。
【解説】
今回は三国志の主要合戦ですので、4つのポイントで押さえてみました。
劉備が徐州から荊州へ逃れた時、劉備について行った者は、関羽、張飛、趙雲、糜竺、糜芳、孫乾、簡擁ぐらいしかいなかった。
それに対して、この戦いでは10万人余りもついている。
しかも、正史「劉巴伝」にはこの民衆を「士人」、つまり劉備に仕官を志す人達だとしている。
何故だろうか。
この理由を3つ挙げてみる。
①徐庶や諸葛亮といった名士層の人物を配下にした
徐州時代まで傭兵色の強かった劉備にとって、名士層の人物を得る事は、良き軍師を得ることだけでなく民衆の支持を受ける事にもつながった。
②劉表・蔡氏体制への不満
劉表の跡取りを、長男の劉琦でなく次男の劉琮に決めた。
これは、「長子相続」とされた儒教の教えの下では、当然反発を買っただろう。
また、徐庶と諸葛亮は、劉表を支えた蔡瑁らとは異なる司馬徽グループの学閥だった。
とすれば、もしかしたら、学閥間の対立構造があったのではなかろうか。
③曹操による孔融殺害
この年の9月、「建安の七子」とされた孔融の殺害は、後々まで曹操が非難される理由の一つである。
北方から名士層を多く迎え入れた荊州人にとって、名士層の暗殺はこれまた反発を買っただろう。
劉備が趙雲とはぐれた時
「子龍は私を見捨てない」
と言い張ったこのシーン
これは、正史「趙雲伝」の注に引く『趙雲別伝』に劉備が負けたのを受け、趙雲が北方に去ったと告げた者に対しての
「子龍は私を見捨てて逃げたりしない」
から採ったものとされている。
どちらとも、趙雲は劉備のもとに現れたのだから、いかに劉備が趙雲に対して絶大なる信頼を置いていた事が伺える。
趙雲は阿斗を救出する前に、簡擁、甘夫人、糜竺の三人をそれぞれ馬を与え救出、誘導している。
つまり、趙雲は戦場からの救出劇を二回やっているのだ。
また、張飛から曹操に下ったとの誤解は、簡擁から事情を聞いて解かれている。
曹操軍の追撃戦・劉備軍の撤退戦という構図となった長坂坡の戦い。
撤退側の劉備軍は、殿(しんがり)役として張飛が任務した。
殿役は、張繡の戦いで戦死した典韋のように、軍の「盾」となり自軍の士気を維持しながら、敵軍の被害を抑えるという部隊。
それだけに、張飛の活躍如何では、劉備軍本隊の壊滅にも繋がる重要な任務だった。
それを張飛は、わずか20騎ながら背後から伏兵が潜んでいるかのように土煙を立たせ、曹操軍に大喝を浴びせ見事撤退させた。
そして演義では、張飛が橋を落とした事により、伏兵がいない事がバレたとの指摘を受けるのは、「粗暴だけど抜け目があって憎めない」張飛像のイメージを植え付ける上で、格好の良い材料となっている。
以上となります。長い間のご閲覧ありがとうございました(m _m)
次回は、今流行りの「一番思い入れのあるカード」を挟んでから、諸葛亮が劉備に仕えた事に関する投稿をします。
水戸黄門こと徳川光圀も趙雲が大のお気に入り武将だったようで、自分の別名で「子龍」「常山人」と名乗ったほどw
史実でも創作でもかっこよすぎる男、趙子龍!
>柱の男さん
ただでさえ、自信の命の危機がある戦場でありながら、見事救出した趙雲は正に英雄です!
俺が三国志で一番好きなのは長坂坡の戦いだったりします。
漫画やゲームや小説でも目頭や胸を熱くしてます。
スリーキングダムズも何度も見て泣きました。
帰宅したらまた見てみます!
>うさまるさん
本作の長坂坡の戦いは、「神回」と称される程ですからね。
帰宅したら、是非見ましょう!