この投稿には小話(フィクション)が含まれています。
以下の3点のうち、1つでも引っかかったら戻る推奨です。
①文才がないので読みづらいです。
②誤字・脱字はごめんなさい。
③三国志大戦とは関係ない小ネタが入っています。
「ほら、居眠り禁止」
いつの間にか寝ていたらしい。正面に座るトウコに体を軽く揺すられ、私は目を覚ました。
トウコの左の手のひらから伝わる体温が心地いい。
「静かすぎるのも問題かも」
「贅沢だなぁ。この場所は図書館の中でも穴場の場所だよ」
私達の通う学園には、県の中でも有数の蔵書数をほこる図書館がある。専門書は勿論の事、
雑誌や学術書まで含む多数の本棚が所狭しと並べられている。一般にも解放されており、検索
できるPCの前には列ができる事が常だ。
私達は今、洋書の専門書が陳列された階の生徒用自習室で、中間テストに向けての試験勉強の
真っ最中だった。洋書ばかりのこの階は利用する生徒が少なく、自習室の競争率が低い事をトウコが
教えてくれた。
「昨日は夜ふかししてたの?」
「ラジオを聴きながら勉強してたんだけど、途中から・・・ね」
「やっぱり」
全てお見通しだと言わんばかりにトウコが微笑む。すると彼女は、机上のノートや参考書を端に
寄せ始めスペースを作り始めた。さぁ白状しろ、と言わんばかりの勢いだ。
そこまで見抜かれていてはしょうがない。私も自分の持ち物を端に寄せ、鞄から愛用のケースを
取り出す。
「新しいデッキが完成したの?」
「この間引いたカードで作ってみたんだ。しかも、私には珍しく単一勢力」
各勢力の優秀なカードを集めてデッキを作る私だが、今回は最大士気の関係から単一勢力にしている。
「このカードが今回の目玉」
ヴェールが印象的な美女の描かれたカードをトウコに渡す。そのイラストの絵師のファンである彼女は、
大喬だ、と声をあげる。表面を見てカードをひっくり返す。弓兵で武力2、女性武将だから魅力持ち、
制圧力2もあるんだ・・・。そのまま自分の世界に没頭してしまいそうなので、私は慌ててカードを
並べ始める。
「今回は大喬をキーカードに呉単で組んでみたの」
並べられた6枚のカード。トウコは大喬を7枚目として、そっと机上に戻すと改めてデッキを眺める。
「呉国太、潘璋、呉景、リョウ操に・・・吾粲を入れたんだね」
単一勢力で組んだのは吾粲の為でもある。火計の士気が7と重いので、二勢力以上のデッキにするのを
ためらったのだ。武力要員のカードと計略要員のカード。呉景の麻痺矢と吾粲の火計はそれぞれ、騎馬対策、
低知力の武将を焼く為に投入してある。
「それとリョウ統?」
「本当は夫の孫策が良いんだけど、持ってないから入れられなかったのが一つ。でも、もう一つ理由があるんだ」
もう一つの理由。大喬を投入したからこそのリョウ統なのだが、トウコは気づくだろうか。考え事をする時の癖で、
髪を結んでいる髪飾りに自然と手が伸びる。暫く、ん~と唸っていたが、やがて降参とばかりに両手を軽く
持ち上げて肩をすくめてみせる。
「騎馬は他にもいるのに、あえてリョウ統を選ぶ理由がやっぱり分からないなぁ」
あまり見ないカードだけに、難しかったかもしれない。正直なところ私も、自分でデッキを作っていなければ
答えられる自信がなかったと思う。
「大喬の計略効果を思い出してみて。計略中に撤退すると復活カウントは-20秒。そして、リョウ統の将器は復活減少」
「分かった!将器を持たせたリョウ統が計略効果時間中に撤退すれば-26秒だから、4秒で復活できるって事だね」
「更に言うと、副将器も復活減少が揃っていたら最短で2秒で復活できる」
実はこのデッキ、以前に作った陳姫+楊秋の3秒で復活できる楊秋デッキを参考に作ったのだが、こちらの方が対応力が
高いと思っている。リョウ統が2コスなので武力7を確保でき、撤退しても士気3で兵力MAX、4秒で帰ってくる騎馬は
なかなかに厄介な存在だ。先の呉景と吾粲も、大喬以外の裏の選択肢として活躍してくれると思う。軽めの資産で
組めたのも嬉しいかぎりだ。
「4秒で帰ってくるリョウ統かぁ。なんだか過労死しちゃいそうだね」
他の武将は撤退しても30秒の休憩時間が与えられるが、リョウ統にそんな休息は与えられない。味方の為にも彼は4秒で
復活しなくてはならないのだ。
「私、あるCMを思い出しちゃった」
トウコが人差し指をピンと立てる。その言葉に、私も閃くものがあった。
「じゃぁ、一緒に声に出してみようか」
「せーの、『24時間戦えますか』」