鞄からケースを取り出すと、早速トウコが近寄ってきた。
「今回はどんなデッキを作ったの?」
「見てからのお楽しみだよ」
彼女と一緒に始めたカードゲーム。今ではその魅力にはまり込み、お互いに作ったデッキを
見せ合うのも楽しみの一つだ。いつもならツブヤイターにも呟くのだが、トウコの生の反応が
見たくて我慢していた。
一枚、一枚とカードを机上に並べていく。好奇心を隠そうともしない眼が徐々に細まり、
眉根が寄せられ、最後には困惑の表情を浮かべた事を背中越しにでもはっきりと感じとった。
「8枚デッキなのに武力1と2ばっかり。・・・総武力15しかないよ」
改めて指摘されると15というのうはクールな数字だ。武力8の武将2枚に負け、超絶強化の
武将1枚と同等。15、三×五、三五十五。そんな名前が主人公の柔道漫画を思い出す。
「こんなデッキで大丈夫なの?」
トウコの心配も尤もだ。約3ヶ月というひよっ子並の大戦歴の私でも、8枚デッキが稀有な存在で
ある事は知っているし、人から見れば「ネタデッキ」と笑われる類の物かもしれない。だけど
こんな時、祖母の言葉が蘇る。
「カードは友達、怖くないよ」
友達を信じ、カードを信じる。誰しも自分が作ったデッキに誇りを持つものだし、戦う前から
負けを覚悟して試合に臨むのはご免だ。私は全国のライバル達に胸を張って言える。
「大丈夫、凄く硬いから」
「ちょっと何を言ってるのか分からない」
※この小話はフィクションです。
【三国志大戦4】ワラ好きが(ほぼ)○○持ちと行く【四品中位】
https://www.youtube.com/watch?v=46lXzw5m4z8